マグリットの絵がわかる夜

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 ベルリンに戻ってきたら、私がいない間にすっかり初夏になっていた。私が出発するときはまだ寒かったのに、帰ってきたらいきなり緑が茂り、夏になっている。1ヵ月という時間は、何かが変化するのに十分な長さなのだと痛感した。

 日ものびている。今は夜の8時半頃まで明るい。昼と夜の境目が曖昧になる。

 すごくまれだが、何かを「わかった」と思うときがある。
 去年の夏に仕事でベルギーに行ったとき、初めてルネ・マグリットの絵がわかった気がした。「光の帝国」というタイトルらしい、構図の下半分にあたる家の周りが夜なのに、上半分の空は青空の絵。
 ベルギーの夏の夕暮れを見ていたら、あの絵はシュールでもなんでもなくて、いま私が見ている風景そのままじゃないかと思った。急にすごく納得した。

 ちょうどいまのベルリンもそう。下が夜で、上が昼。
 でもベルギーに行く前から私はベルリンで、この、どっちつかずの時間を知っていたはずなのに、ベルギーで急にわかったのはなぜなのか。やっぱり、マグリットがベルギー人だからなのか。

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