日本より8時間遅れのベルリンは、現在21時を回ったところ。すでにあちこちからは花火のボンボンという音が聞こえてきます。
2011年は本当にいろんなことが起きました。自分としては、これほど走りっぱなしだった年はなかったんじゃないかと思います。春に『ウォールペーパー・インテリアレッスン』、暮れに『ウォールカラー・インテリアレッスン』を出し、南ドイツに何度も旅をし旅行記を書き、ベルリンのカフェを相変わらず取材して回りながら毎日毎日があっという間に過ぎていきました。一つの仕事が、また次への力を与えてくれた気がします。
いつも思うことですが、私自身がいくら何かを書きたくても、機会をいただけないことにはできません。書く機会を与えていただけて、本当にありがたいと思っています。
そうやって毎日過ごせるありがたさというのを、今年ほど感じた年はありません。
地震大国の日本に生まれて、これまでも「自分がベルリンに住んでいる間に日本に大地震がきたら」という漠然とした不安を感じていましたが、3月11日にそれが起こりました。
家族への電話がなかなかつながらなかったときの、あの恐ろしさ。
大勢の方がつらい思いをされたし、今も震災による被害は続いているし、不安を抱えたまま暮らしている人が大勢いると思います。
それなのにベルリンという、いわば外野で暮らしていることに対して、自分の中で複雑な感情が湧きました。日本に本帰国したほうがいいんじゃないか、いやこういう時だからこそ外国にいられるのであればいたほうがいい......二つの間を行ったり来たりしました。
結局たどり着いたのは、毎日を精いっぱい生きるということです。自分が好きなベルリンでそれができるなら頑張ろう。そう思っています。
外では花火の音が盛んに聞こえます。いま机に向かって静かにこういうことを書けるのも、穏やかな気持ちで年を越せるのも、実は奇跡のような、しあわせなことなのかもしれません。
今年1年クボマガを読んでいただき、どうもありがとうございました。
2012年も、どうかよろしくお願いします。