スマデリと、ベルリンの行く末と

| コメント(0) | トラックバック(0)

Tage20150616.jpg

スマデリ店内レジ脇に、署名用紙や意見募集メモが置かれています


Tage20150615-2.jpg

スタッフ、お客さんみんなでコミュニティを築き上げてきました


(*ベルリンのお店やライフスタイルに関しては、在ベルリンガイドの松永さんとの共同ベルリン情報ブログ「おさんぽベルリン」をぜひご覧ください。バリバリ書いてます)


ベルリン・ミッテ地区にある、和食カフェレストラン&食品店「smartdeli(スマートデリ)」(以下スマデリと略します)が、現在の場所を強制退去させられる危機に立たされています。家主が、賃貸契約の延長を認めないからです。
 そこで契約延長を求めるため、スマデリと有志が署名運動を始めました。店内レジ脇にある用紙に署名を書き込めるほか、ネットでもできます。

 ネットでの署名運動はこちらです→https://www.openpetition.de/petition/online/smart-deli-muss-bleiben-neuer-mietvertrag-fuer-nachhaltiges-restaurant-in-der-chausseestr


 集まった署名は、ベルリン・ミッテ地区の役所に届けられる予定です。そして賃貸契約延長ができるよう、役所・家主・スマデリによる話し合いの場を設けることを目標にしています。

 私は、オーナー夫妻からこの話を聞いたとき、これはスマデリだけの問題じゃないと思ったんですよね。ベルリン市という街の将来に関わる問題だと。

 私がスマデリオーナー夫妻と知り合ったのは、ベルリンに来てから間もない頃です。ちょうどスマデリも、当時オープンしたばかりでした。
 それからスマデリは、現在の所在地であるChausseestr. 5 に引っ越しました。いつも大勢のお客さんでにぎわっていたので、店が存続の危機に立たされるなんて、思ってもみませんでした。


 オーナー夫妻から聞いた、契約に関する話はこうです。

・現在交わしている賃貸契約は、契約満期時に延長するかどうかは、家主が一方的に決められる内容となっている。そして家主は、来年1月の契約満期をもって、スマデリとの賃貸契約を終了すると言い渡した。延長は不可。

・スマデリ周辺のお店も同じ内容を言い渡され(家主は異なる)、既に移転、あるいはこれをきっかけに閉店した店もある。

・周辺のお店も一斉に退去させて、その後この場所をどうするかは、家主は店子に言う必要はない。

・スマデリが現在の場所で営業を始めてから、家主は3代ぐらい代わっている。

 以上のような状況に「納得できない」と、スマデリは周囲の人々と相談し、上記の署名運動を始めたのです。


 私はこういうことについてまったく知識がないので、詳しい人に聞いてみたところ、店舗契約満期時には家主が更新の有無を決める権利があるのが普通とのことでした。個人宅の賃貸契約とは違い、店子が店舗の場合は、家主・店子とも企業ということで、同等の立場と見なされるそうなんです。
 ですからスマデリの家主は、法的に違反しているわけではないんです。

 スマデリが今回署名運動を始めたのは、現在の場所で営業を続けたいからというのはもちろんですが、それよりももっと別の理由があるそうなんです。

 その理由の一つは、「自分たちだけが満たされればOKという社会に対してNOを表明したかったから」。そしてもう一つの理由は、「これまでお客さんたちと一緒に創り上げてきた地域コミュニティを壊されたくないから」ということでした。

 スマデリではオープン当初からこれまで、お店の営業を通じて社会に還元できることを少しずつ行ってきたそうです。例えば自然エネルギー(Naturstrom)やBio パッケージ(Green Box)を採用したり、飢餓を救う活動のために売上の一部を使うドリンク商品(Lemonade, Charitea, Viva con Agua)を販売しています。お客さんが来店することで、自分だけでなく誰かのためにも何かをできるようにしたい、そういうポリシーがあるとオーナーさんは話していました。

 自己利益だけでなく、世界にも目を向けている会社を選ぶことで、スマデリなりに少しずつ社会とつながってきた。でも、立ち退きを要求している家主の会社は、もしかしたらそんな視点はないかもしれない。だから、自分たちの視点を表明したい、と。
 オーナーさんが署名運動に至ったのは、そういう理由からでした。


 私は、街は生きものだと思っています。
 いろんな考え・バックボーンを持った人々が集まり、コミュニティが生まれていきます。そこからさらなる魅力が生まれ、より多くの人を引き寄せます。
 街を創り上げているのは、そこに生きるひと、一人ひとりだと思います。

 もし、さまざまな人々が営む(または集まる)個人店が消えて、資金力があるチェーン店のみになったら、便利にはなるかもしれませんが、街の魅力は色あせるでしょうね。自由でクリエイティブなベルリンのよさは、ここに集う人々が創り上げてきたのですから。
 でも、家主にとっては高い家賃が取れた方がいいに決まっていますし、ベルリン市も税収が増えていいことでしょう。

 スマデリが今回の署名運動で求めている、役所・家主との話し合いは、たぶんとても難しいと思います。法律を変えて、契約を更新するなんてことは、夢のような話かもしれません。ですが、自分たちの意見を明確に表明したスマデリを、私は支持したいです。

 そして私は、ベルリンがこれ以上退屈な街になっていくのを見るのは、嫌です。

コメントする

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.kubomaga.com/mt5/mt-tb.cgi/852

2016年10月

            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

アーカイブ

メールください
info@kubomaga.com
妹と私が開いている
レトロ雑貨ネットショップ
Amsel アムゼル
ベルリンのカフェ・蚤の市などをお散歩するように旅する人の、ベルリン情報サイト
おさんぽベルリン
ベルリンのカフェを案内します
ベルリンのカフェガイド