ちょっとご無沙汰していてすみません。実はコブレンツで開かれたアニメのイベントに泊まりがけで行ってたんですよ。いや、私自身は別にアニメファンじゃないんですけどね。
そのイベントがもう、ほんっとうに楽しくて。即売とかコンサートとかいろんな出し物があったんですが、見ていて楽しいのはなんといってもコスプレでしょう。
コスプレをしたいという気持ちが私にはどうしても理解できないんですが、どうも非常にイイものらしい。アニメキャラとかセーラー服なんかのコスチュームを、この日のためにみんな一所懸命手作りしてきてるんだから。会場はそんな人たちでいっぱいで、きれいな格好をしている子の周りには、写真を撮る人たちの輪ができている。なんか文化祭のノリを思い出す。あの妙な熱気。
このイベントにはドイツはもちろん、外国から来ている人もいた。日本でアニメファンて聞くと、オタク特有のじっとり、ねっとりしたイメージが浮かぶけど、ドイツのファンは女の子も多いし、ティーンエージャーがいっぱい。なんかさわやか。だから文化祭を思い出したのかも。
びっくりしたのが、ファンたちの日本熱。日本に対する憧れは半端じゃない。日本に留学した子もいたし、独学で日本語を勉強している子もいる。私がプラプラ歩いていたら、いきなり日本語で話しかけられたりもした。それがけっこう流暢だったりするんでまたびっくり。
ここに来る前、「アニメイベントに参加することになったの」と周りのドイツ人に話したところ、眉をひそめる人もいた。「アニメ? あんな目が大きい絵、気持ち悪い。好きじゃないよ」という反応が多かった。でもそういうことを言う人はだいたい二十代半ば以降。ここに来ている子たちとは年齢差がある。
日本人がかわいいと思うものを、ドイツ人もかわいいと思う。それってすごいことじゃない? 以前は私はそんなこと不可能だと思っていた。だって西洋ではかわいさよりもセクシーを追求するし、たくましく自立心旺盛なドイツ人女性にとって、かわいい格好をするなんて男に媚びてる証拠。ヘタしたら軽蔑されかねない。
でもここでは、そんなこと全然関係なし。日本的なかわいさが会場いっぱいに満ち満ちている。ある場所では男の子がアニメキャラを描いていたり、私が写真撮影を頼んだコスプレの女の子の決めのポーズが日本のアイドルっぽかったり、日本から来たアイドルのコンサートに十代の女の子が声援を送っていたり……。
これは十年後が楽しみだ。ドイツ人の美意識は確実に変わる。この子たちが大人になって子どもを産んだら、その子にもアニメを見せるだろう、マンガを読ませるだろう。日本のテレビアニメは既にたくさん放送されている。それを日本のものだと知らずに見ている人も多い。
日本のかわいさは、世界のスタンダードになる。