今日、ふとしたことからうつ病の話になった。「クボタさんはそんな経験ないだろ」といわれ、私の頭には、瞬時に3、4人の顔が浮かんだ。私自身はなったことがないけど、周りには結構いるんだ、うつ病の人。そんなに珍しい病気じゃないよ。
中でもやっぱりM君のことは忘れられない。彼とはずっと音楽仲間で、二人でバンド、いやユニットかな、やっていた。ライブやったり、曲を作ったりして、すごく幸せだった。でもいつの間にか彼はうつ病になっていた。
彼からそのことを聞いたとき、私はただ、そう、と思っただけだった。けど、状況はどんどんひどくなっていった。人に対して攻撃的になり、疑心暗鬼、行動は極端。みんな付き合いきれなくなって、どんどん離れていった。
私も彼とは、音楽は一緒にやってたけど、付き合っていたわけではなかった。どちらかというと性格的には合わなくて、しょっちゅうケンカをしていた。それで結局、二人での活動をしばらく休むことになった。
数ヵ月ほど会っていなかったある早朝、彼のお母さんから電話が入った。その瞬間、死んだんだ、とわかった。
自殺だったのか事故だったのかはわからない。でも、そんなことはもう、どっちでもいいような気になっている。きっと、本人もわからなかったんじゃないだろうか。
自分の中に残るのは、後味の悪さ。病気で苦しんでいたんだろうに、優しくできなかった。もっと受け入れることができていたら。
もう7年ぐらいかな、前の話だけど。いまだによく考える。
どうすればよかったんだろう。
どうにもできなかったのかな。
わからない。