ドイツに来た当初、こっちで働くことなんて思いもよらなかった。だって私の仕事は言葉が道具。それをドイツ語でやるなんて、とてもじゃないけど無理だもの。そもそも私のビザじゃドイツでお金をもらうことはできないし。
ずっとそう思ってたら、ある日友だちから「せっかく長くドイツにいるつもりなら、プラクティコムでもやってみれば?」といわれた。あ、そうか、その手があったか、と目からうろこ状態だった。
プラクティコムというのは職業研修のことで、無給またはごく少額の給料で働きながらその仕事について学ぶというもの。日本では学校を卒業したらいきなり社員として働くことが多いけど、こっちではプラクティコムをしている学生が多い。学生のうちから仕事になじんでいるから、入社後3日で辞めました、なんてことが起きにくくていい制度だと思う。
ただ私のドイツ語はいつまでたっても満足いくレベルにならないし(先は長い)、働く自信なんて全然持てなかった。そんなとき、ふと「そのうちどこか出版社でプラクティコムをやりたいなあ」と知人に漏らしたら、じゃあまずは履歴書を送らなきゃ、書くの手伝ってあげるから、ということで話が一気に進んでいった。で、書きあがった履歴書を数社に送ったら、そのうちの一社から返事が来て、あれよあれよという間に本日初仕事という運びとなった。ちなみに無給です。
いやー、やっぱり働くのって大変。日本語だったら簡単なことも、ドイツ語でやるとなるといちいち時間がかかってしょうがない。ちゃんとできているかどうかも確信が持てなくて不安がつきまとう。
でも私はここでいろんな体験をしてみたかった。だからこれは本望。これからまた、新しい経験をたくさんしたい。ほんとはお金もほしいけど……。