ザッパー?それとも合理的?

2003.04.28 16:32

 ケーキでも買って帰ろうかなと思い、お店へ入った。ショーケースにはいろんな種類が並んでいて、どれもおいしそう。熟考の末、いざ注文。
 えーっと、と頼もうとしたら「全部で何個?」と聞かれた。2個です、と答えると、お店の人が紙皿をとって、私が頼んだケーキを並べる。そして上からワックスペーパーをくるくるっと巻いて、どうぞと差し出されたのが写真の状態。

 どう思います?この包み。日本は持ち帰るとき、箱に入れてくれるでしょう。それに比べ、この大ざっぱさ。家まで崩さずに持って帰れるかしら。ちなみにこの店はちゃんとしたお菓子専門店で、ほかのお菓子屋でも持ち帰りの包みは同じような状態です。
 しかし裏を返せば合理的ともいえるわけ。ゴミが少なくて済むわけだから。ちなみにこの「合理的」という言葉、ドイツのいろんな事柄を一言で片付けることができて便利です。

 紙皿の底を手で抱えながら、バスを乗り継ぎ、家に帰った。ワックスペーパーを取ってみたら、ちょっとずれてはいたものの、幸いケーキは無事だった。しかし道中、神経を使ったことといったら。日本なら、1時間ぐらいかけてデパ地下なんかから持ち帰ることもあるけど、ドイツではこの包みからすると、お菓子屋の商圏が極端に狭いのだろうか、などと考えたりする。
 ちなみにフランスでは、持ち帰りたいというと、全体をピラミッドのような四角錘に包んで、頂点に紐をつけ、手でぶら下げられるようにしてくれると聞いたことがある。かわいらしい形が目に浮かぶ。
 ケーキの包み方ひとつとってみても、お国柄が表れるってことなんだろうか。

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バスが足

2003.04.26 00:39

 最近、語学学校を変えたのと天気がいいのとで、バスをよく利用している。ベルリンのバスといえば有名なのが100番の路線。市内の見所を一通り回るから、わざわざ高いお金払って観光バスに乗る必要なんてなし。中にはガイドさながらに、見所をアナウンスしてくれちゃう運転手もいる。
 その100番のバスがうちのすぐ近くまで来ていることを最近発見して、それ以来100番のヘビーユーザーに。近ごろは観光客もどっと増えてきて、バス内は聞きなれない言葉であふれかえっている。楽しい。やっぱりベルリンは観光都市だ。

桜の谷

2003.04.24 15:04

 心配しているパソコンですが、今のところ大丈夫なので書けるうちにどんどん更新します。

 さて、先日ドイツの西側の地域に泊りがけで出かけた。この辺は暖かくて、緑もきれいで、なんかほっとする。
 道中、車窓から桜が見えた。日本のソメイヨシノとは違って、もっと花びらが白い、楚々とした雰囲気の、たぶんあれは山桜。きれいだったー。時間があれば途中下車してぶらぶらしたいものを……。
 乗換のために小さな駅でぼーっとしていたら、ふと「な〜んで私、ここにいるのかなあ〜」という気がしてきた。自分がいま、そこにいるということがウソみたいで。非日常の世界に行けた、小さな旅だった。

タマゴコロコロ

2003.04.21 17:56

 20日の日曜と21日の月曜は、ドイツではイースターなんですね。そう、復活祭です。学校もお店も休みになって、春の到来を祝い、家族みんなで食事をしたりします。私は、お菓子職人の友人の家へ遊びに行ってきたんですが、彼女が働いている菓子店のオーナーからご招待を受け、お宅にお邪魔しました。なので今回は、ここで体験した「イースターの過ごし方」をご紹介。

 朝9時。一家そろって庭に出る。あらかじめ親が隠しておいた卵形のチョコレートやおもちゃなどを、子どもたちが探し出す。見つけたものはゲットしてよい。
 午後12時半。オーナー一家、ご両親、オーナー兄弟一家が大集合。みんなで楽しく食卓を囲む。お料理は、その日に自分で釣ったというマス、ブロッコリーとカリフラワーをパン粉をつけて焼いたもの、ゆでたジャガイモ、パプリカソースなどなど。素朴な家庭の味でおいしい。
 午後3時。卵ころがし。色とりどりにペイントしたゆで卵を、丘の上から転がす。終了。

 卵を探すっていうのはドイツ各地でもポピュラーな風習らしいけれど、この「卵ころがし」っていうのは、どうやらこのへんだけで行われているらしく、同居人のドイツ人に話したら「何それ」って感じでした。私も実際にやってみるまでは、運動会の玉ころがしみたいなものを想像していたんですがね。
 要はちょっとした小高い砂山にのぼって卵用の小道を掘り、上から卵を転がすというもの。それも別にみんなで競争するでもなく、ただコロコロコロコロ、転がすんです。コロコロコロコロ、何回も。だから何?って感じでしょ。「これには何の意味があるの」と聞いてみても「さあ」ってな返事で、意味不明。ま、楽しければそれでいいか!

 ところで、最近パソコンの調子が悪く、もしかしたら修理に出すことになるかもしれません。その間、ちょっとクボマガの更新もお預けかも……。すぐに更新できるよう、いろんな手を考えますのでまた見てください。

 友人のみなさんへ。そういうわけなので、メールは外からチェックするようにします。

日本語を話すと私がいなくなる?

2003.04.18 21:54

 ドイツ人と、お互いの母国語を教えあいっこしている。私は彼に日本語を教え、彼は私にドイツ語を教える。二人ともプロの語学教師ではないからなかなか大変なのだけど、まあタメになる。
 日本語を説明していてつくづく思うのは、言葉を学ぶということはその国の文化を知ることだということ。例えば日本語では主語を省略することが多い。特に「私は」という主語をほとんどいわない。それはやっぱり、日本人が自己主張を好まないことの現われでしょ。日本語は、行動の主体をはっきりさせることが大嫌い。このことだけでも、日本が西洋の個人主義と全然違うというのがわかるというもの。
 でも、主語は普通いわない、と私がドイツ人に説明すると、どうしてそれで意味が通じるんだ、と来る。あんたらにはわからないかもしれないけど、日本人ならみんなわかるの、日本は察しの社会だからね、と思う。
 こういう日本語を使っていると、他者との境界が自然に曖昧になっていく。なあなあな関係が成り立ってくる。それがいい、悪いとかではなくて、ただ日本ではそういうふうになっている。
 だから極端な話、日本なら悪いことをしても大丈夫そう。だって「私が」っていわなくて済むから。責任の所在が明確でないから。百歩譲って責任を取る必要が生まれたとしても、連帯責任というものがある。便利だぞ、日本語。

2度目のお花見

2003.04.14 23:49

 プラプラと通りを歩いていたら、ピンク色のぼわーっとしたかたまりを発見。もしやと思って近づいたら桜だった。一本だけだったけど、うれしかった。今年はもう見られないと思ってたから。ベルリンにも春が来ました。

4月に降る雪

2003.04.10 11:46

 ベルリンに帰ってきてからこっち、雪が降ってばかり。つい1週間ほど前にお花見してきたとは思えない落差。
 あー、せっかく東京から持ってきたコットンの膝丈スカートがー、麻のシャツがー。私がいなかった間は、あったかかったらしいんだけど。春はいずこ……。

東京はアジアの喧噪

2003.04.08 10:10

 14番線お下がりください、三鷹行き電車がまいりまーす、白線の内側にお下がりください、ゴーッ、バタバタバタ、左右よく見てすいたドアからお入りくださーい、はい、ドアが閉まりまーす、閉まるドアにご注意くださいー、閉まりますー、シューッ、バタッ、ガーッ。

 こういう音はベルリンでは聞けない。

帰る場所、ベルリン

2003.04.05 02:49

 怒涛のような日本での2週間だった。昼に夜に人に会い、ごはんを食べ、酒を飲む。これを毎日2週間。私、ベルリンに来てから粗食のせいで体重減ってたんだけど、一気に元通りだなあ。いや、増えてるかもしれないな。
 でも、わずかな里帰りにもかかわらず、日本ではいろんな人が「会おうよ」といってくれた。すごくうれしかった。大好きな人たちと同じ時間を分かちあうのって、本当に幸せだもの。
 
 そして再び、ここはベルリン。
 空港に着いて街の景色を見たとたん、日本での出来事が夢のように思えてきた。私はまた、あっさりとベルリンの日常へ戻った。
 いまの私には、ベルリンは帰ってくる場所なんだ。そう思った瞬間、私はベルリンの住人になった。

サクラサク

2003.04.01 23:52

 この時期に日本に来られて、本当によかった。だって桜が満開なんだもの。
 桜を見ると、こう、胸がきゅうっと締めつけられるような、どきどきするような、そんな特別な気持ちになる。これは、ちょっとほかの花では味わえない。
 これでもう、心おきなくベルリンに帰れる。