このクボマガを長いこと読んでいただいている方は、何回か目にしたことがあるんじゃないでしょうか、ヒロコさんという名前。
彼女とは2000年にケルンで知り合って以来、ときに日本とドイツで離れ離れになることはあっても、ずっと連絡を取り続けていました。私がベルリンで暮らすようになってからは、ベルリン郊外に住む彼女にはお世話になりっぱなしの、頼れる友人です。でもヒロコさん、今年の春に日本に帰国していたんですよ。それはね、日本で結婚して旦那さんと二人でお店を出すことになってたから!
8月、山梨にオープンしたばかりのそのパン屋さんの名は「バックハウス・インノ」。豊かな自然の中に立つチロル風の山小屋、店の脇には川が流れ、水車小屋が……。お店に入ると中央にはどっしりとした手作りの石釜。ドイツ語が書かれた木の梁、吹き抜けの天井、すべてが本格的。よく○○風、みたいなちゃちい店をよく見かけるけど、ここは本物志向です。だってちゃんとした哲学に裏付けられているんだから。
チロル地方の人々の自給自足の暮らしを、この店でも取り入れたいうのが「バックハウス・インノ」の考え(これでいいんだわよね、ヒロコさん?)。そのために”甲斐小麦”と名づけた小麦を自分たちで栽培し、石釜で焼くための薪を割るという仕事までしています。そして近い将来、水車で粉も挽く予定。単なるカッコだけのチロルとはわけが違うんですよ。
パンは私好みのハード系パンからしっとりふんわりした食パン、デニッシュ系まで多品種そろっています。どれもそれぞれにおいしい。そして、ランチも心からおすすめ。日替わりスープ、サラダ、パン、そして手作りハムか輸入チーズのメインプレートと飲み物。サラダとパンは食べ放題、飲み物は飲み放題のバイキング。これで1500円とはお値打ちとしか言いようがないでしょう。私もいただきましたが、すっかりおなかいっぱいになりました。ここでいろんなタイプのパンを試してみて、帰りに買って帰るのもいいかも。そして、お水がまたおいしい。湧き水だそうで、ほんのり甘いんです。
せっかくなら近くの清里までドライブしてもいいし。東京からの日帰り旅行に組み込むのにはもってこい。パン好きのみなさんはぜひ行ってみてくださいよ。その際に「クボマガを見た」とおしゃっていただいたら……読者の方がいることがわかってうれしいかな(誰が?私が。ヒロコさんは嬉しくないよな、別に)。
さて住所。
「バックハウス・インノ」
山梨県北巨摩郡大泉村西井出字和田9177
TEL/FAX 0551-47-3388
営業時間 11:00〜18:00(ランチは11:00〜14:00)
毎週火曜定休
東京からだと中央高速長坂インターで下りて、そこから5分くらい。車で行くのがいいと思います。
みなさんもぜひ、インノのパンに出逢ってください!