2010年9月アーカイブ

中国とのこと

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 この1週間ほど、ずっと中国とのことを考えていた。

 政治はまったく私のテーマではない。だから私の職業はライターであり、自分では決してジャーナリストとは(日本語では)言わない(ドイツ語では、記事のテーマにかかわらず私のような職業はJournalist(in)と呼ぶのでそう言うけど)。

 でも、今回起きた中国との事件は、なんか他人事ではなかった。
 それはたぶん、私がいま中国ダンス教室に通っていて、中国人の生徒さんたちと定期的に顔を合わせているからだと思う。私はそこでただ一人の日本人。中国語が炸裂している教室は、私にとってリトル中国だ。

 今回の事件の発端は、日本の新聞社のサイトで知った。なんだかまたややこしいことになったなあ、と思っていたら、日本は船長を釈放。それに対して、日本のメディアが弱腰外交だという調子で取り上げた。怒っている日本人も、きっと多かったと思う。

 その時点まで、私は日本の大手マスメディアの報道だけしか読んでいなくて、私もかなり憤っていた。日本のマスメディアの報道がすべてではないということは、冷静になればわかっていたことだったのに。

 マスメディアは絵になるものがほしいから、エキセントリックな写真や映像を使いたがるし、各社の論調に合わせた事実や映像を編集するもの。
 それだけを鵜呑みにしていたら、わからない背景というのはたくさんある。たとえば、日本の新聞だけ読んでいたら(私はウェブサイトしか見られないけど)、中国側の事情とかほとんどわからないのでは。
 中国人だって、中国の報道でしか事件を知らないわけだから、日本に対して憤るわけでしょ。まあ、中国では何かとコントロールされているだろうから、それはまた別問題だけど。

 それに気づいて(というか、人と話すうちに気づかされて)、ドイツ国内の報道を見たり、いろいろな方のブログを読んだりした。そこには日本の報道とは別の視点がたくさんあって、そこではじめて落ち着いて考えられるようになった。

 現代なら、さまざまな情報をインターネットで瞬時に調べられる。昔のように限られた情報しか与えられなかった時代とは違う。
 個人のホームページやブログ、ツイッターなどの価値はそこにある思う。現場の声や、いろいろな意見を聞ける。物事は、複数の視点から見なくては。

 私が恐れているのは、こういう事件がきっかけで一般人同士が危害を与え合うこと。互いの国の実態を何も知らないのに、自国の報道だけで何となく相手を嫌いになり、嫌がらせをしたり傷害事件を起こしたりするようなことは、あってはならないでしょ。

 そうはいっても、船長釈放後のギクシャクした時期にダンス教室に行くのが微妙だった。どういう顔で行けばいいのやら......、日本人の私がいてどうなんだろう......なんて、ぐるぐる考えてしまって。

 でも、何でもなかった。いつもと同じでみんな親切、ほがらか。いや、もしかして多少気を遣われていたかな。私が行ったら喜んでくれた人がいたしな。

 私は一般人で、政治について考えることはできるけど、実際に大切なのは日常の暮らし。日常で、誰と会って何をするかが大切。
 相手が何人でも、まずは個人としてつきあいたい。ダンス教室の中国人仲間とも、もっと親睦を深めたい。
 まず最初に個人があって、そこから国があるという感じか。だから、ダンス教室で中国人と知り合えたのは、本当によかった。

 私はなんでも腹で感じたいんだ。頭で理解することは大切だけど、それだけだとなんだか危ない気がする。腹でも感じると、真に理解できた気がする。

 考えてみたら、私がこれまで書いてきた本は、みんな私が腹で感じてきたことばかり。いろんな人に直接会って、話して、お宅にも何回かお邪魔する。
 そういうことを100人以上としているうちに、腹で理解したことを書いている。

 腹で理解したことしか自分には書けない。

 あ、なんか中国について考えているうちに、自分の仕事の方針が見えてきた。

twitter:@kubomaga

路駐有料化

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 道を歩いていたら、見慣れない円柱状のものが立っていた。将来のパーキングチケット販売機だった。
 ベルリンは基本的に路駐ができるけど、エリアによって有料だったり無料だったり、いろいろ。歩いていた場所はこれまで無料エリアだったのだけど、10月から有料化になるらしい。どこもお金が必要ということか。

 日本と違って、こっちでは車の購入時に車庫証明もいらない。アパートに駐車場なんてついていないのが普通だから、みんな路駐。
 無料エリアなら住人も家の前にタダで駐車できたけど、有料化したらお金を払わないといけない。もっとも、住人用の特別料金があるんだけど。
 車って便利だけど、やっぱり何かとお金がかかる。

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 アーティストの友人(ドイツ人女性)が、このたびカレンダーを発売。A3判の大型で、いっぱい書き込め、しかも2012年の2月まである!
 満月&新月のマーク入り。月の満ち欠けは、ドイツ人はけっこう気にするのでね。
 
 手づくりグッズ販売ウェブサイト"dawanda"にて販売中です。
http://de.dawanda.com/product/6315238-DIN-A-3-Kalender-Sep-2010-Feb-2012

 もし日本にお住まいの方で「買いたいな〜」という方は、私までメールをお送りくださいませ。
info@kubomaga.com

 カレンダーで思い出したけど、明日は秋分の日。あぁ、これからどんどん暗くなる......。どうしたらいいんだ。

 多くの方から「ドイツの冬は寒くて大変そう」と言われるのですが、寒さより暗さ!! 暗いのが何よりつらい。人間は太陽の光がないと生きていけないんだということが、つくづくわかった。

 6月頃に異常なほど上がりまくってたテンションが、8月ぐらいから下がりはじめ、あぁ10月はどうなることやら。
 冬を迎えるに当たってはいつも心の準備をしているのだけど、それでも落ち込むときは落ち込んでしまう。怖いな〜。

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 NHK『テレビでドイツ語』10月号テキストが発売中です。10月からのテーマは「ベルリン」。

 これは2009年の4〜9月分の再放送ですが、ベルリンに興味のある方は必見。私も行ったことがない、ベルリンのおもしろスポットを取り上げています。
 語学は反復学習が大切なので(実感。使わないとすぐ忘れる)、10月からもぜひ楽しみながらドイツ語を学んでください。

 連載「ベルリンからの小さな旅」も、いよいよ後半戦です。今回は、ベルリンから日帰りで外国旅行をしてきました! 行き先はポーランドのスウービツェです。

 このスウービツェ、ドイツ人が買い物をしに出かけたりする町でもあります。物価が安いのもありますが、税制の違いからタバコやお酒が安い! それを目当てに、ドイツ人が続々と国境を越えてやってくるのです。

 まあ、国境を越えるといっても、橋を渡るだけ。東京から千葉へ行くような(あるいは千葉から東京へ行くような)感覚だと思います。
 こういうときにヨーロッパが地続きだということを実感しますし、時代によって国境線が東へ西へと動いたのもよくわかります。

 違う国々が隣同士に存在しながらうまくやって行くのって、よく考えたら奇跡なのかもしれません。ちょっと前まで争いは絶えなかったわけだし、今だって微妙なバランスの上に成り立っているのでは。
 その辺の能力、島国出身日本人の私には不足しているので、もうちょっと学べたらなあ、と。

 ところで、テキスト表紙の写真はアレキサンダープラッツの世界時計ですが、これ、いつ撮影されたものだろう。今ここと同じ場所に立っても、見える景色は若干違います。
 どこがどう違うか知りたい方は、ぜひベルリンにいらしてください。

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壁の2色遣い

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 この前入ったカフェが、壁の色を2色に塗り分けていた。これがけっこうよかった。

 ただでさえ壁に色を塗るなんて恐ろしいのに、2色なんて!と思われる方もいるはず。でも、選ぶ色次第では、全然派手な感じにはならない。このカフェのように、色のトーンを揃えればきれいだと思う。

 壁の一面を2色に塗り分けるのもアリだけど、一面は1色にとどめておいたほうがいいかなという気はする。
 だけど、例えばベージュの壁にどこか1本ブルーのラインを入れるとか、そういうのはきれいかもね。

 日本の賃貸住宅では、色を塗るのはなかなか大変だろうから、お店とかで色を使ったインテリアのバリエーションがもっと広がったら楽しそう。飽きたらまた別の色に変えてもいいんだし。
 
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 わが家にMANUFACTUM(マヌファクトゥム)の商品カタログが届いた。MANUFACTUMは衣食住の全分野から厳選した商品を扱っている、高級セレクトショップ。ベルリンをはじめ、ドイツの大都市にショップがある。

 とにかく置いてある商品がいい。高品質でベーシック、かつクラシックなデザインがそろっている。古いデザインの復刻版もある。
 おなじみバウハウスのヴァーゲンフェルド・ランプとか、磁器やベークライト製の電源スイッチパネルとか、美しいものがたくさん。
 文房具もいいのがそろっている。うわー、この革製ペンケース、いいなぁ〜。

 ドイツのプロダクト・デザインって素晴らしいでしょ? だからページをめくっているだけで楽しいの。商品写真もきれいで、飽きもせずずーっと眺めてしまう。
 あ、商品はドイツ製とは限らず、外国のメーカーもあるけど。でも高級ドイツ製品も豊富。

 だけど、当然お値段も素晴らしい。いつだったか、欲しいと思った革製バッグが400ユーロ近くしたんで、あきらめたことがあったなあ。
 だから私は、もっぱら眺めて堪能している。

 でも、これだけのカタログを作るには、相当コストがかかっているはず。だって、A4判400ページ、オールカラーだよ。写真点数も多いし、送料だってバカにならない。無料でカタログをもらって何も買わないのは、正直、ちょっと良心がとがめる。

 だから、せめてものお礼に、ここで宣伝。ドイツのいいものがほしければ、ぜひMANUFACTUMへ。お土産探しにも最適です。

 そうそう、併設のパン屋さんもおいしい。

MANUFACTUM
Hardenbergstr.4-5, 10623 Berlin
http://www.manufactum.de/home.html

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 なんだか毎年書いているようだけど、今年もやって来たー、フェーダーヴァイサー Federweisser の季節。

 ワインの発酵途中の段階であるフェーダーヴァイサーは、ジュース以上ワイン未満な、さわやかな口当たりの飲み物。
 私にはどうしても微発泡のリンゴジュースとしか思えなくて、クイクイ飲んでしまう。そう、ブドウではなく、なぜか私にはリンゴのように思える。
 もう本当においしいから。これが出回りはじめると、条件反射で買ってしまうんだなあ。

 でもアルコールは10%前後あるので、注意が必要。いい気になって飲んでいると、後でとんでもないことになるかもしれないので、気をつけて。かくいう私もグイグイ飲んだ後、危うくそのまま友人宅で眠りこけるところだった。

 今から10月頃までの間にドイツにいらっしゃる方は、ぜひこのフェーダーヴァイサーをお試しください。これは発酵中につき瓶を密閉できず(しめたら爆発?)、日本に送るのは無理なので、ここでのおたのしみということで。
 
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 もうすっかり寒いベルリン。これからどんどん暗く&寒くなる一方なので気が滅入るけど、秋には秋のレジャーというものがある。

 そう、キノコ狩り。
 ベルリン郊外にはキノコ狩りスポットがけっこうあるらしく、キノコを採って楽しんでいるという話をよく耳にしていたので、私も常々一度行きたいと思っていた。

 そんなところへ、友人がキノコ狩りに行くという知らせ。そりゃあ私も体験したい、ということで同行させてもらうことに。

 友人が参加するのは、キノコ博士の女性と一緒に行くツアー。これならキノコ素人の私でも安心だ。

 場所はLobetal(ローベタール)という、ベルリンから車で北へ30分ぐらい走ったところ。そこに集合して、みんなで森へと分け入っていった。

 キノコ狩りに必要なものは、キノコを入れるためのかごか布袋、または紙袋。おすすめは、底が広いかご。キノコが重ならず、きれいな状態で持ち帰れる。ビニール袋は、キノコが呼吸できないので御法度だとか。
 さらに掘り起こすときにナイフもあると便利。でも、なくても手で掘り起こせる。

 格好は長ズボンにウィンドブレーカー。さらにできればゴム長が理想的だけど、なければスニーカーで。草むらは湿ってたりするから。

 さて、集合したら森へ入る前にキノコに関するレクチャーをキノコ博士から受ける。有毒キノコの見分け方、採取の仕方などいろいろ聞くんだけど、正直、キノコの種類がたくさんありすぎてわからない。

 私が理解したのは
1)縁をちぎって白い乳液が出てくるのは有毒
2)傘の表面の一部が三角形にきれいにむけたら、毒キノコの可能性が高い

程度で、実際には見分けは非常に複雑かつ困難。結局は、各自が採ったキノコをキノコ博士に見せて鑑定してもらうということになっていった。 

 参加者の中にはベビーカーを押した親御さんもいて、ゆったりムード。みんなで森を散策しながら、キノコ博士に採取スポットを指示してもらい、それぞれがキノコを探した。

 森には針葉樹も広葉樹も植わっていて、いろいろなキノコが生えている。中でもPfifferlinge(プフィファリンゲ=アンズタケの一種)とSteinpilze(シュタインピルツェ=ポルチーニ)が見つかれば、大当たり。
 誰かがSteinpilzを見つけた瞬間に「私のだーッ」と叫んでいたぐらい。私の友人も3本見つけて、ほくほく顔。

 私はどちらも見つけられなくて、採れたのはTäublinge(トイプリンゲ)というキノコばかり。どうやらベニタケ科のキノコらしいんだけど、これには食用と有毒の両方があるらしく、キノコ博士に聞いたところ、1個1個試すしかない、と。
 どう試すかというと、「端をちょっとちぎって、口に含んで吐き出す」んだって。もし苦みや刺激を感じたら、それは有毒。

 なんか心配だな〜。一応言われたとおりやってみて、何も感じなかったから持ち帰ってきたけど。微妙に不安。死にたくないしねえ。それに、食用できてもそれほど味がいいわけではなさそう。

 そんなわけで、都合4時間も森を歩き、Täublingeを何本か見つけて終了。何となくそれを料理するのもためらわれ(これまで何度も書いているけど、私は心配性)、キッチンに並べたままボーッと眺めている日々。
 
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 日曜のマーケットといえば蚤の市だけど、ハンドメイド派には、もうひとつ見逃せないフリマがあるんだな。

 それは「トレンドマフィア」という名のハンドメイド・マーケット。毎月第一土日に開かれる。
 ベルリンのクリエイターたちが作った雑貨や服が売られているこのマーケット、お気に入りの若手作家を発掘するのにもいいかも。

 しかも室内だから、天気に左右されないのも魅力。そんなに広くないので、1時間もあれば十分。

 今月は、明日4日と5日。

Trendmafia
Brunnenstr.64, 13355 Berlin
http://www.trendmafia.de/
 
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 冨田千恵子さんとの共著『ヨーロッパのインテリアレッスン』(グラフィック社)が、このたび増刷となりました。
 
 本書をご購読いただいたみなさま、店頭に置いていただいた書店のみなさま、お世話になったすべての方々に御礼申し上げます。どうもありがとうございます。

 インテリアは、人をしあわあせな気持ちにしてくれます。自分の好きなものがあれば、それだけでうれしいですし、素敵な人のお部屋を訪問するのもわくわくします。
 そういう「しあわせな気持ち」を、本書を通して少しでもお伝えできたらうれしいです。

 これからも自分の伝えたいことと、みなさまの知りたいことを考えながら仕事を続けられたら、とてもしあわせです。

 こんなことを知りたい、見てみたい、などご意見・ご感想などございましたら、どうかメールでお知らせください。お声をいただけると、とても励みになります。
info@kubomaga.com

 私が仕事を続けていられるのは、みなさんが本を買ってくださるから。
 本当にありがとうございます。
 これからも、どうかよろしくお願いします。
 
twitter:@kubomaga

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