2011年10月アーカイブ

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 昨年の今ごろもほとんど同じタイトルで書いたけど、毎年10月最後の日曜日は冬時間突入の日。冬時間になると、いきなり暗くなる。
 ドイツでもっとも憂鬱な期間は、冬時間突入からクリスマス市が始まる11月下旬ぐらいだと思う。これまでの経験から、その期間ドイツを去ると、その冬はなんとか落ち込まずに済むということがわかった。

 なので、今年もこの期間は日本にいることに。次回は日本から。

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 ドイツ語を勉強しているみなさん、NHK『テレビでドイツ語』11月号が発売になっています。

 今月の連載「南ドイツの小さな町」では、ムルナウを旅してきました。
 ここはもう、本当に風景がきれい! 小さな町の目抜き通りに立つと、目の前にアルプス山脈があるんですよ! この道をまっすぐ歩いて行けば、あの山の頂にたどり着くんじゃないかと思うくらい。
 夕暮れ時、バラ色に染まっていくアルプス山脈を見ていたら、吸い込まれそうな気になりました。

 これは紙幅の関係で原稿には書けなかったのだけど、この町の設計は建築家のエマヌエル・フォン・ザイドゥルEmanuel von Seidlが20世紀初頭に行ったもので、建物の外壁の色もちゃんと決められています。
 それが今でもそのまま! 塗装し直したりして、当時の状態を保っているんです。パステルカラーの建物が並んで、それがアルプスの山々と一つになって、そりゃもうまるで舞台美術のようでした。

 この町はミュンヘンから鉄道が延びて以来、ミュンヘン市民の避暑地として賑わったそうです。そういわれてみると、東京と軽井沢みたいな関係にも似ているかも。ムルナウの町も、瀟洒な店がありますし。

 この町に魅せられたのが、画家のワシリー・カンディンスキーとガブリエレ・ミュンターでした。カンディンスキーとは、抽象画で有名でバウハウスでも教鞭を執っていた、あのカンディンスキーです。
 ミュンターは元々彼の教え子(バウハウス時代よりも前)で、その後恋人同士になったのでした。

 二人はこのムルナウで共に暮らしたのですが、そこへ第一次世界大戦が勃発し、二人は離ればなれに。
 ミュンターは、終戦後に再びカンディンスキーと一緒になれることを祈って彼を待っていたのですが、なんとカンディンスキーは避難先の祖国ロシアで別の女性と、とっとと(本当に「とっとと!」)結婚していたのです。

 それを知らず、ひたすら待ち続けたミュンター。彼の結婚を知ったときは、そりゃショックだったでしょうね......。
 しかも、カンディンスキーは彼女とのコンタクトを一切拒絶してたそうですから、なんと非情な男よ......というのが私の感想です。こんなことも、原稿には書けませんでしたが。
 
 もちろん、画家としての功績と、一個人としての行いは関係ないでしょう。
 でも、ミュンターとは10年以上も一緒にいたんですよ。そんな人を、いきなり何もいわずにポイッて捨てるなんて。情というものはないのかと思います。

 カンディンスキーは、ひどい男!
 あー、この場で書けてすっきり。

 もっと上品な内容については、ぜひテキストをご覧くださいませ。

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 そろそろフェーダーヴァイサーも飲み納めの頃。あと1回飲めるかどうかと思っていたら、たまたま入ったカフェで「フェーダーヴァイサー&ツヴィーベルクーヘンセット」なるものが。これは神の思し召しか?

 「フェーダーヴァイサーって何?」という方はこちらをご覧ください。

 そして、フェーダーヴァイサーのお供とくれば、この「ツヴィーベルクーヘン」と相場が決まっている。
 ツヴィーベルクーヘンについてはこれまで書いていなかったので、今日はそれについて簡単な説明を。

 ツヴィーベルクーヘンは、直訳するとタマネギケーキ。簡単にいえば、タマネギのキッシュ。
 ただ、生地のタイプはいろいろあって、キッシュのように厚いのもあれば、酵母入りのパン生地のような、キッシュより薄手のものもある。生地の上にクレームフレイシュ(乳製品の一種)とタマネギの薄切りとベーコンを散らしてオーブンで焼いたもの。

 ツヴィーベルクーヘンと同じくらい、フェーダーヴァイサーのお供になるのが「フラムクーヘン」。これも見た目はツヴィーベルクーヘンと似ているんだけど、生地がもっと薄くてパリっとしている。乱暴な例え方をするなら、ツヴィーベルクーヘンはパンピザタイプ、フラムクーヘンはクリスピーピザタイプ。

 カフェで見かけることが多いのも、こっちかな。私はツヴィーベルクーヘンより、フラムクーヘン派。
 これは確かアルザスが本場だと思う。アルザス地方はフランスとドイツの国境にあって、どちらの国にも属していたから、二つの文化がミックスされている気がする。
 
 これで今年のフェーダーヴァイサーシーズンも満足に締められる。
 さて、そろそろグリューヴァイン(ホットワイン)の季節じゃない?

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 今月も月刊『cafe-sweets』(柴田書店)が発売になっています。
 今号の連載「ベルリン カフェのインテリア」は、「生花を飾る」をテーマに、クロイツベルク地区のカフェを紹介しています。

 このカフェは、ベルリンでときどき見かける、壁紙をはがしてむき出しにした壁が特徴のインテリア。私はこういうテイストが大好きなので、つい紹介したくなっちゃうんです。
 で、そういうハードなテイストのインテリアに花があると、それだけでもう印象が全然変わるんです。

 ベルリンでは、個人宅でも花を飾っている人が多い印象があります。もっとも、私がお邪魔する家はインテリアにこだわりがある人たちが多いので、サンプルとしては平均値といえないのは事実。それでも花は日本よりもずっと身近な存在です。
 カフェでも同様で、特別おしゃれな店でなくても一輪挿しはよく飾っています。その割合は東京よりも高いと思います。

 これからどんどん暗くなっていくので、花の存在が一層ありがたくなるはず。ドイツの冬の厳しさが、生花へと向かわせるのかも。

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 前回の写真で、福岡めぐみさんの作品の下に敷いてある布が気になった方......お目が高い!
 これは私が大ファンのシルクスクリーン作家、ビルギット・モルゲンシュテーンさんの作品なんです。

 写真ではテーブルの上に敷いているけど、実はストール。ごく薄いウールでできていて、この季節にぴったり。私は毎日愛用しています。

 ビルギットさんとも、ご本人より先に作品と出合いました。繊細な色と柄に、とにかくひと目ぼれ。作品への思いを募らせたあまり、まったく面識のないご本人を訪ねていったのでした(その様子はこちら)。

 そしたらとてもいい方で、好みも似ていて、すごくうれしくて。絶対ビルギットさんを日本に紹介するんだと心に決めて、その約半年後に私の『ウォールペーパー・インテリアレッスン』で、ビルギットさんのご自宅インテリアについて書きました。

 ビルギットさんの作品は布地、ストール、クッション、壁紙、ラッピングペーパーといろいろあります。ご自身が一つひとつ、シルクスクリーンで刷っています。
 どれを見ても、ビルギットさんの確固としたセンスを感じます。繊細で、控えめだけど、確かな存在感。そんな印象です。作品というのは、本当に作り手の個性がそのまま反映されるものなんですね。
 ご自宅にはシルクスクリーンによる壁紙やカーテンがあって、それがとても上品。真っ白い壁よりも、ずっと素敵でした。

 というわけで、ビルギットさんの記事は自分の本で書いたので、次は作品を紹介したい。
 そうです。だから日本で紹介します、作品を。

 ここで告知です。
 今年の春に行った「トウキョウ ‐ ベルリン雑貨店」の第2回を行います。

日時:2011年11月19日(土)・20日(日)お昼ごろから(決定次第ご連絡します)
場所:モイスェン2Fギャラリー
東京都杉並区西荻南3-17-7

 この「トウキョウ‐ベルリン雑貨店」では、私がベルリンで集めた50〜70年代雑貨と、陶芸家・福岡めぐみさん、シルクスクリーン作家・ビルギットさんの作品のほか、日本の美しい伝統工芸品を展示・販売いたします。

 第2回となる今回は、また新しい試みも考えています。
 詳細が決まり次第追ってご連絡しますので、11月19日・20日に東京・西荻窪でお会いしましょう!

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 好きなものを買うのって、うれしい。前からずっとほしいと思ってたものを、手にしたときの喜びよ。

 ベルリンに住んでいる陶芸家の福岡めぐみさんのことは、何年か前にもこのクボマガブログに書いたことがあるけど、彼女の作品を久々に購入してやっぱり素敵だなあと思った。

 彼女とは、今では友人としておつきあいをしてるけど、もともと本人と知り合うよりも前に作品に出合っていたのだ。
 お店に飾ってあった作品を見て、白くてなめらかな磁器の肌にひとめぼれ。
 その頃は(今もたいして変わらないけど)お金がなかったから、いいなあ、ほしいなあ、と眺めているだけだった。お値段は決して高くないんだけど、とにかく家賃と食費以外にお金を遣う余裕がなかったのだ。

 ご本人と知り合って以来、少しずつ好きな作品を集めてきたけど、今回はお花の器。花びらの形で、シルバーの縁取りがあるもの。相変わらず磁器特有の白さとなめらかさが美しく、頬にすりすりしたくなる。

 「他人が買ったものなんて興味ないよ」とお思いのあなた。いやいや、買い物自慢したいんじゃないんです。
 ベルリンにお住まいの方なら、ぜひアトリエへ行ってみて。それに、今週の日曜(16日)にはArkonaplatzの蚤の市にも出店するそうなので、気軽に見られるチャンス! 詳しくはこちら

 「ベルリンへは行けないよ」という方、待っててください! 近いうちに日本でも手に入るようにしますから!

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 もしかして私、このテーマを既に書いたことがあるかもしれないけど(このクボマガブログ、もうすぐ10周年を迎えるの。私もすっかりもうろくして、記憶もおぼろに。許してください)、ここ数回で古いものについて触れてきたので書いてしまおう。

 ベルリンには、アルトバウと呼ばれる築100年前後の集合住宅が多い。多くはレンガでできていて、外壁は塗装されているのが一般的。
 外壁の塗装は100年も保たないから、一定期間が経つと塗り替えられる。

 そこで普通はすべてきれいに上塗りされるんだけど、注意深く見ていると、部分的に壁面の色が違っていて、擦れた文字が残っていることがある。「お菓子屋」「印刷所」......壁に書かれた文字は、その当時の看板だったわけ。

 これは外壁だけでなく、個人宅の室内の壁でも同じ。昔の壁紙部分をわざと部分的に残している家を、これまで何回か見てきた。それは『ベルリン、わたしの部屋づくり』でも紹介した。

 こういうのって、なんかいい。歴史が感じられるし、趣がある。すべてが新しいと、なんか味気なく思えてしまう。
 スクラップ&ビルドで、以前の面影をまったく思い出せなくなってしまうのはさびしいし、ひいては刹那主義につながるような気もするのよ。考え過ぎかもしれないけど。

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 この前の南ドイツ取材旅行では、ひょんなことから一般のお宅を見学させてもらえた。

 たまにあるんだ、そういうことが。たまたま中から家の人が出てきて、私がカメラ持ってキョロキョロしていると、話しかけられたりするの。で、その成り行きで「家の中を見ていけば?」って。私はインテリアに興味があるし、お宅訪問大好きだから、もちろん喜んで見学させてもらう。

 今回見せていただいた家は、もともと16世紀にできた木組みの家。当時は地位の高い人が住んでいたそうで、立派なものだったらしい。家具も立派なものが残っていた。
 でも、現在住んでいる人が買い取ったときの家の写真を見せてもらったけど、ほとんど骨組みしか残っていない状態でボロボロだったのよ。
 それを買い取って見事に修復したんだから、勇気もお金もあるってこと。一般の人にはなかなかできないことだと思う。

 歴史ある家は、たいがい文化財保護に指定されているから、いろんな制約があって勝手な修復はできない。それでも、そんな家を買い取って直そうって人がいるんだから、やっぱり文化に対する理解があるってことなんだろう。

 そういえば、以前ベルリンで取材した人も文化財保護に指定されているアパートに住んでいた。「いろいろ大変なのよ〜」といいながらも、なんかうれしそうだったのを覚えている。
 一種の道楽なのかもしれないけど、こういう人たちがいるからこそ、古い民家も生き残れるんだな。

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 ベルリンの集合住宅は、19世紀後半〜20世紀初頭にできたものが多い(教会とかはもっと前)。私のアパートも1900年前後にできたものだから、100年は経っているというわけ。

 ベルリンに住み始めた頃は、なんて古いんだろうと驚いたけど、ドイツ国内を旅行するうちに「100年なんてつい最近」と思うようになってきた。
 ベルリンの歴史は比較的新しい。それより何世紀も前の中世から続いている町は、ドイツ各地にある。ドイツという名前ではなく、神聖ローマ帝国(世界史で習ったな〜。当時は想像できなかったけど、ドイツに来てからようやく感覚的につかめるようになった)と呼ばれていた頃の時代ね。

 そういう歴史ある町では、民家でも15〜16世紀に建設された家が残っていたりする。石造りだったり木組みだったり、時代や場所、住人の身分によって家の種類はいろいろ。

 そうした古い民家が今でもきれいな姿で存在しているのは、人々が手間ひまかけているからなんだと、話を聞くとよくわかる。
 木材が傷んだのをそのままにしておいたら、家はダメになってしまう。特に針葉樹の木材は、広葉樹に比べてもろい。外壁だって塗り替える。戦争だってあったから、ダメージも受けていた。そのたびに改装、修復を繰り返して民家は今に至っている。
 
 家に住むには、現代の生活に合わせて建築当時には存在しなかった設備も必要になってくる。つまり、暖房とか、トイレ、シャワーの類。窓枠だって、密閉できる二重窓じゃないと冬の寒さを乗り切れない。そういうものは後から取り付けている。
 だから、外観は古くても、室内は案外モダンなインテリアだったりもするわけよ。それが意外でおもしろい。

 とりわけホテルは、快適さが重要。今回泊まったホテルも建物自体は18世紀のものらしいけど、もちろん室内はすっかりきれい。壁もきちんと塗ってあるし、窓は二重でシャッターも付いている。
 ただ、床がゆがんでいるのがはっきりとわかった。室内を歩くと、明らかに水平じゃない。古い木組みの家を利用したホテルでは、同じような経験をしたことがこれまでにもある。それもまたおもしろい。

 古い家を維持するのは、壊して新たに建て直すよりもずっと手間も費用もかかるはず。それでもこれだけ残っているのは、人々が古いものを慈しんでいるという表れ。

 ドイツに来てから、人類の歴史は連綿と続いていて、自分はたまたま今この時代に生きているのだと感じるようになった。
 日本にいたときは、歴史なんて考えたこともなかった。日本は自然災害が多いからドイツと比較はできないけど、古い家屋や品物から感じるものは大きい。 

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