やることが次から次へと雪崩のように押し寄せて、いつまでたっても終わらない。体はもうすっかりこの状況から逃避したいらしく、先週は頭痛に襲われた。寝たら治っていたけれど、それでもまだ気分がすっきりしないので、心を静めるべく香を焚いたりなどしている。
頭痛のサインがしたときは、コーヒーが効くことを最近発見。近場のカフェまで歩いていって、コーヒーを飲むと気分がすっきりして、知らぬ間に頭痛も治っていたりする。
で、先週の頭痛時にも家からほど近いカフェに行った。そこのメニューには「アラビカ種100%豆」が、「コーヒー」または「エスプレッソ」の状態で飲めると書いてある。アラビカ種100%はマイルドな味で私の好み。これはエスプレッソではなく「コーヒー」で飲むべきだと思い、そのように注文した。
でもこの「コーヒー」というのがくせ者でね。「エスプレッソ」は、エスプレッソマシンで淹れた飲み物だということが明らかだからいいの。でも「コーヒー」には、淹れ方の定義がないのよ。
日本のカフェなら、たぶんペーパーフィルターでお店の人がカウンターで淹れているのが一般的だと思う。ベルリンのカフェではペーパーフィルターはまったく主流ではなくて、ほとんどお目にかからない。ではどういうやり方かというと、少数派として存在しているのがフレンチプレス方式。あの、ガラスの筒に挽いたコーヒー豆を入れて、お湯を注ぐやり方ね。
そしてベルリンカフェにおける「コーヒー」の主流が、エスプレッソマシンで淹れる方式。お湯を多めにして、抽出時間を長くして淹れたもの。
でもそうやって淹れたものは、見た目はコーヒーかもしれないけど、味がもうダメ。抽出時間が長いから、苦みが出ちゃっておいしくない。たぶん豆も、エスプレッソ仕様に細かく挽いているんだと思う。
本当においしい豆を「コーヒー」として飲むなら、エスプレッソマシンでなんか淹れちゃ、台無しになってしまう。「コーヒー」と「エスプレッソ」は別物なんだから。おいしく飲むなら、フィルターかフレンチプレスで淹れるべき。
果たして私が行ったそのカフェでも、苦みばかりが強い「コーヒー」が出てきた。表面はわずかに泡立っている。エスプレッソマシンで淹れたな。せっかくのアラビカ種100%豆が台無しじゃないか。無難にカプチーノとかにしておけばよかった......。
ベルリンのカフェは居心地がよくて魅力的だけど(だから本も書いたのよ)、「コーヒー」の淹れ方だけは改善の余地がある。もっとも、お客さんはカプチーノとかラテマキアートなどのエスプレッソアレンジドリンクを頼む場合がほとんどで、「コーヒー」なんて言っている人はほとんどいないと思うんだけど。
私だっていつもはカプチーノとかを頼むけど、「コーヒー」が飲みたいときもある。どうかおいしいコーヒー、出してください。