レストランで食べるドイツ料理は、肉の煮込みだったり、巨大カツだったりして、ごつい印象があると思う。
でも、家庭で普段食べる夕食は、もっと簡単なものが多い。もともと伝統的なドイツの夕食は「冷たい食事」といって、スライスしたパンにチーズやソーセージペーストなどを塗ったものを食べて終わり、というもの。ドイツでは昼に温かい食事を取り、夕食は軽く済ますというのが以前のパターンだった。
現代では多くの人がオフィスで働いていて、昔の生活習慣とは変わっているけど、それでも夜は「冷たい食事」という人は結構いる。
私は、夕食にはどうしても温かい料理が食べたいので、そうしている。でも簡単なものが多い。日本のようにメイン、小鉢が2つぐらい、ご飯、お味噌汁、なんて、そんな大層なディナーは作らない。ご飯炊いて、お味噌汁作って、野菜炒めでも作れば上出来。日本にいたら手抜きと言われそうだけど、ドイツなら立派なもんよ。
どう考えると、日本の主婦(主夫)のみなさんは、何て大変なんだろうと思う。とにかく毎晩たくさん品数を作らなきゃいけない、というか、作るものだと思っている。私もそう思っていた。市販のお総菜を買うと、手抜きだとか子どもがかわいそうだとか言われる。
日本人の食に対する情熱は素晴らしいし、そういう所は好き。だから、お料理が好きで作りたい人は作ればいい。でもそうでなかったり、時間がなかなか取れない人は、もっとラクしてもいいんじゃないかと思う。
例えば野菜たっぷりのコンソメスープを大量に作っておいて、最初はスープとパンで、2日目はゆでたパスタを投入してスープパスタとか、そんなんでもいいんじゃないのかな。
ドイツ人の食卓を見てると、あまりの簡素さにびっくりする。そして「ラクそうだな〜」と思う。私が『ドイツのキッチン・ルール』で、取材させていただいた方々のある日の献立表を載せたのは、そんなドイツの食卓を伝えたかったから。そして、「こんなんでもいいんだ」と、ちょっとラクになってほしいと思ったから。
もし「え、今日のおかずはこれだけ?」と家族から言われたら「ドイツではね......」という弁明に『ドイツのキッチン・ルール』をぜひご利用くださいませ。