2011年7月アーカイブ

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 夕方、久々に会う友人とビアガーデンに行く約束をしていたのに、朝起きたらどんより曇り空。ほどなくサーッと雨が降り始めた。
 
 今年の夏は、さえなかった(既に過去形)。すっきり晴れた日は数えるほど。気温も上がらず、雨も多かった。
 
 私には、夏にやるべき恒例行事というのがいくつかある。今年は何ひとつ達成できていない。
 夏に十分発散できないと、冬を乗り切ることができない。いつからか、夏の不完全燃焼に対する恐怖は、私の中で大きな位置を占めている。

 降りしきる雨を見て、「今日も夏の楽しみがまたひとつなくなった......」とがっかりしていたら、午後になってから日が差してきた。

 こうなったら、もう意地。綿のカーディガン+綿コートという、およそビアガーデンに行くような出で立ちとは思えない格好で、無理やり行った。

 それでもやっぱり、行ってよかった。こっちのビアガーデンは木立に囲まれた、まさに「ガーデン」。緑の中でビールを飲む喜びといったら、それは、もう。
 にぎやかな日本のもいいけど、この静かな緑のビアガーデンは、それとはひと味もふた味も違う魅力がある。
 
 今日行ったのは、私の本『ベルリンのカフェスタイル』でもご紹介している「ハインツ・ミンキ」。緑に囲まれてリラックスできる、大好きなビアガーデン。もちろんコーヒーやケーキも。

 そうだ、夏の間にここに来るのも、私の恒例行事の一つだった。じゃあ、今日はようやく今夏の課題をひとつ達成ね。

twitter:@kubomaga

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 インテリアの本を書くときに何がいちばん苦労するかって、それはロケハン。素敵なインテリア、クリエイティブな部屋を見つけるのは、毎回かなり骨の折れる作業。お店ならお客として自由に入れるけど、一般のお宅には勝手に入り込めないでしょ。

 上手な見つけ方なんていうものはなくて、とにかくあらゆる手段で探すしかない。本も雑誌も締め切りは絶対守らなきゃいけないから、果たしてそれまでにぴったりの部屋が見つかるかどうか、いつもすごく不安になる。

 でも、これが不思議なことに、締め切りまでにはちゃんといい部屋が見つかるんだ。いい部屋が必要な件数見つかった時点で、その仕事が半分終わったような気分になる。そのぐらいプレッシャー。

 ロケハンの過程では、スリリングな出来事もたまにある。

 先日、深夜に突然電話がかかってきた。出てみると知らない男性で、背後はどうも酒場のようなにぎわい。
「家を探してるんだって?うちを見てもいいけど」と言われ、二つ返事で行くことにしたものの、あとからじわじわと不安に。
 こんな深夜にかけてきた男性だよ? 私は女性だし、身体も小さい。一人で家を見学に行って大丈夫なのか? 
 考え出すと不安は増すばかり。

 それでも可能性を捨てたくないので、事前に友人に事情を説明し、約束の見学時間直後に私の携帯へ電話を入れてもらうように頼んだ。
 
 で、いよいよ当日行ってみたら......当の男性はこっちが拍子抜けするくらい温厚で、私の心配は取り越し苦労に終わった。
 またその家が、相当珍しい家で。企画コンセプトに合わなかったのでお断りしたけど、そんな家を見られるのも、この仕事をやっているおかげだなと。
 
 そんなこんなで、インテリア本づくりは実はかなりスリリングな仕事といえるのです。この体験を元に、火サスの脚本とか書けないかしら。

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 今月の連載「ベルリン カフェのインテリア」は、あえて家具をバラバラにしたカフェのご紹介。デザインはバラバラでも50〜70年代でまとめ、素材も統一感があるので、全然ちぐはぐな印象がないんです。

 いかにも飲食店用のテーブルと椅子で全部まとめるより、個人的にはわざとばらつきのあるインテリアの方が好き。なごめる気がするのでね。

 ベルリンでは50年代以降の中古家具は比較的簡単に入手できるし、値段も安いんです。でも、日本でヨーロッパのものを買おうとしたら、ヨーロッパの値段の数倍はするはず。多くの人の手をかけて、海を渡ってはるばる東の果ての国までやってくるのだから、高くなるのはそりゃ当たり前。
 でもあんまり値段が高いと買いそろえるのは大変だし、気軽に使えなくなってしまいそう。

 日本には日本のよさがあるので、ヨーロッパのものをそのまま真似るというよりは、アイディアを参考にしたらいいんじゃないかといつも思っています。
 この回では、古いもの、不揃いのデザインの合わせ方に関して、何かヒントになればいいなと思いながら書きました。
 
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 本当はほかのことを書こうと思ってたんだけど、女子サッカーワールドカップで日本女子チームが優勝した喜びがまだ冷めないので、一言書いておかないと。

 決勝戦は友人宅で見ていたんだけど、アメリカに2点目を入れられた時点で、私は正直あきらめていた。家族からナショナリスト呼ばわりされるほど、日本が負けると激怒する私は(普段はサッカーファンでもないくせに)、絶望しないようにすでに自分の心の中で「ここまでよくやった」と納得しようとしていた。

 だけど、日本女子チームはちっともあきらめていなかった。
 まさか最後の数分で同点に追いつくとは。そしてPKで優勝するとは。きっと大会前は誰も予想だにしていなかったんじゃないの?

 信じる者が奇跡を起こせるんだな、と思った日だった。

 優勝直後にドイツ人からお祝いsmsは届くし、友人からのメールも次々と。今日は仕事でベルリンのお店を取材したけど、ドイツ人のオーナーさんが日本の優勝を祝福してくれた。

 日本が大変な被害に遭った年に、大きな勇気を与えてくれた「なでしこジャパン」。世界に与えたものも大きかった。ありがとう、なでしこジャパン。
 
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 現在発売中の『PLUS 1 LIVING』8月号(主婦の友社)のブックレビューコーナーで、拙著『ウォールペーパー・インテリアレッスン』をご紹介いただきました。
 そしてありがたいことに、私自身もインタビューを受けました。写真も載っております。うーむ、これが自分かーと思います。

 このインタビューは、私がこの春一時帰国した際にしていただいたのですが、実は当日偏頭痛に見舞われて、吐き気はするし、もうどうしようという状態。
 ところが、編集部の方とライターさんにお会いした瞬間、偏頭痛など吹き飛んでいきなりテンション最高潮に。

 私のことをリアルに知っている人なら容易に想像がつくと思いますが、よけいなことまでベラベラベラベラと喋りまくってまいりました。
 きっとライターさんが原稿をまとめるのに、大変だったのではないかと思います。ふだんは自分が書く方だからわかるのに、すみません。

 でもベルリンのことを知ってほしくて、ついつい喋っちゃうんですよ。おせっかいおばさん状態です。
 そんな光景をご想像いただきながら、ぜひ『PLUS 1 LIVING』8月号をお手にとってご覧いただければ幸いです。

 そして、『PLUS 1 LIVING』読者のみなさまから抽選で3名の方に『ウォールペーパー・インテリアレッスン』をプレゼントいたします。
「ちょっと見てみたいけど、買うのはどうしよっかな〜」と思っていらっしゃる方、どうかこの機会に、どしどしご応募くださいませ!

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 バルト海に面した北部ドイツの港町、キールに初めて行ってきた。
 仕事だったので日帰り。ベルリンからキールまでは特急で片道約3時間。さすがにちょっと疲れた。

 それでもキールで1時間ぐらい自由時間が取れたので、ほんのひととき市街を散策。ドイツの歴史ある町を観光するのなら、まずは旧市街へ。歴史的建築物が残っていて見応えがあるしね......と思ったら、新しい建物ばかりで拍子抜け。せっかくカメラ持ってるのに、全然撮りたい気分にならない。

 帰ってきて調べてみたら、キールはドイツのほかの町と同様、第2次世界大戦で町がやられて、そこから元通りの景観にはせず、新しい建築にしてしまったらしい。
 確かに目抜き通りと思われる道には、現代建築が多い。私が好きな、レンガ造りのごつい建物は少数派。

 ドイツの町々を観光していると、第2次世界大戦後にどのような町づくりをしたかで、観光地としての魅力に大きな違いが出てしまっているように思う。
 戦争で壊された町をどう再建するか。
 ある町は戦前と同じ町並みを再現し、ある都市は戦後の時代に合わせた建築を取り入れた。

 これまでいろんな町でいろんな人から聞いた話をまとめると、50〜60年代は時代に合った当時の最先端の建築が好まれていたとか。
 今でこそ、中世の面影そのままの都市は「ロマンティックだわ〜」とか言われて人気があるけど、戦後直後は古くさいと感じる人も多かった。

 50年代〜の時代に合わせた建築を取り入れた都市は、その当時はモダンでよかったのかもしれないけど、2011年の現代から見れば美しくはないというのが正直な感想。
 効率重視で立てられているから、軽っちくて安っぽい。戦後直後は資材が不足していたという背景もあるはず。
 ベルリンにある普通のアパートも同様で、50〜70年代ぐらいに建てられたものがもっとも美しくないように思う。あくまでも私の印象だけど。

 一方、戦前の景観をそのまま再現した町は、観光地として大きなセールスポイントになっている。
 当然ながら第2次世界大戦以前にも何回も戦争はあったわけで、それ以外に大火災とかも起きる。中世の面影をとどめているような町は、何回も何回もそこからよみがえってきている。まさしく町そのものが価値がある。

 まあでも、観光地として考えれば古い景観を維持することが大切かもしれないけど、観光で売っていない町もある。
 大きな産業で潤っている町なら、何も古い景観を売り物にすることもないだろうし。産業の発展には、古い建築だと効率が悪くてやっていられないのかもしれないし。

 町のコンセプトに合った景観っていうのがあるんだろうな。いや、コンセプトが先じゃなくて、自然の流れから行き着いた結果が現在の景観ってことか。

 などと、キールの町をぶらつきながらぐるぐる考えたのでありました。

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 前々回に続き、今回もちょっとしたインテリアネタ。
 私が大好きなシルクスクリーン作家・ビルギットさんから以前少しいただいた壁紙があったので、額に入れて飾ってみた。このアイディア、拙著『ウォールペーパー・インテリアレッスン』の取材で学んだもの。
 なんか宣伝くさくて申し訳ないけど、取材を通して本当に多くのドイツ人から素敵なアイディアをたくさん教えてもらう。本に書くだけじゃもったいない。自宅に活かさない手はないでしょ。

 ビルギットさんの作品は控えめながら上品で、部屋にあるとないとでは大違い。前々回の写真に写っている2個のクッションもビルギットさんの作品。

 この壁紙も控えめな色遣いなんだけど、壁に飾ったらいい感じに。植物モチーフの柄だから花と一緒に飾っても相性がいいと思うし、ブルーグレイの壁に掛けても合いそう。
 実は一度品物を包んだ壁紙なので、よく見るとシワがついているんだけど、そんなことは気にしない。

 自分の好きなものがわかると、そこから世界がどんどん広がっていく。「うちのインテリアは常に変わっていくから完成形がないの」と、取材した多くの人は言っていたけど、それがとてもよくわかる。

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 そもそも私がベルリンに来たのは、人間らしい暮らしがしたいと思ったから。毎日キリキリ仕事に追われるような生活から逃げたかった。このままではダメになるという恐れがあった。

 その日から、まさかこんなに長い間ベルリンに住むことになるとは夢にも思っていなかったけど、ここに住み続けているのは何よりベルリンが心地いいから。
 
 今日も夕暮れがとても気持ちがよかったので、家にいるのはもったいないと散歩。公園の芝生の上では、みんな寝転がったり本を読んだりしている。

 ベルリンが心地いいのは、豊かな自然が大きな要因の1つだと思う。首都なのに広大な公園が街のあちこちにあって、徒歩や自転車ですぐ行ける距離にある。

 何がいいって、自然が多いとそこで食べたりゴロゴロしているだけで、すごくしあわせな気持ちになれること。お金使わなくても、なんか満たされる。

 これを東京で再現しようとしても難しいことはわかっている。一極集中している東京では、スペースがない。
 それに湿度が高いから、夏に外にいたら汗だくになって不快だし、明るいのも午後6時ごろまで。たとえサマータイムが導入されても7時ごろ暗くなるのなら、アフターファイブをゆっくり楽しむにはちょっと短そう。

 だから、ベルリンで感じているような「小さな日々のしあわせ」とは別の「日々のしあわせ」が東京ではあると思うんだけど、どうしたら見つけられるんだろう。

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 インテリア関係ネタは本で書いているせいか、はたまた私が無精だからかブログの登場回数が少ないけれど、実は密かに続いているんです、わが家改造計画。

 久々の改造となる今回は、天井からの照明。これまで部屋の中心に低めに垂らしていたんだけど、ずーっと前からこれを部屋の隅に移動させたかった(部屋の様子は拙著『ヨーロッパのDIYインテリア』でどうぞ)。
 
 なんせわが家は狭いので、洗濯物を干したりするのに(室内に干すのが一般的。外に干す場所もないし)家具の移動はよくあること。
 そうすると普段とは動線が変わるから、部屋の中央に低く垂らしていたランプシェードに激突することがしばしばあった。まあ、紙製だからけがはしないけど、不便なことこの上ない。
 かといって、照明の位置を高くするのは光が平板に当たりすぎて落ち着かないからいやだった。

 照明を移動させたかった理由はもうひとつ。
 ベッドの位置を変えたので、その脇に照明を垂らせば、ちょっとラウンジみたいな雰囲気になっていいんじゃないかと思ったから。
 私の部屋はソファを置く場所もないから、お客さんが来たときはベッドの布団を片づけてソファ代わりにしている。その脇に照明があると、ほわっとした雰囲気になるでしょ。

 ということで、天井の隅にフックをつけ、そこからベッドへ向けて照明を低く垂らしたところ、想像通り落ち着いた感じに。部屋の隅を照らすと、部屋がきれいに見える(気がする)のもメリット。寝るときは、照明は足元側に来るから邪魔じゃない。
 当然今までより、部屋全体は暗くなった。だけど、それによって60年代デンマーク製のスタンドライトも活躍の場が増えたし、落ち着く。デスクにはデスクライトがあるから、仕事するのも困らないし。

 ってことで、居心地のいい部屋を目指し、超スローペースで「わが家改造計画」は続く。

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 "Berlin ist arm, aber sexy"(ベルリンは貧しいが、セクシーだ)とは、ベルリン市長・ヴォーヴェライト氏が2003年に放った、あまりにも有名な一言。
 2011年現在、ベルリンはその言葉がそぐわない状況になりつつある。

 空き地だった場所には投資家によって次々とアパートが建ち、古いたたずまいが魅力的だった建物は、中をすっかり改装されて家賃が跳ね上がる。前回このコーナーで書いたC/OBerlinという美術館も近い将来立ち退かなくてはならず、その後は高級アパート&ホテルとして改装される計画らしい。

 ベルリンは首都だけど、目立った産業がないから貧乏だった。経済が回らないから、富裕層も少ない。
 だからこそ物価が安く、廃屋同様の古びた建物や工場建築、空き地がたくさんあった。そういう自由な空間とドイツ再統一による突然の資本主義という組み合わせが、おそらく世界中でベルリンしかない、独特の魅力を作り上げていたのだと思う。

「ここはドイツではなく、ベルリン」。
 ベルリーナーたちはそう思っているし、私もそう。そこに魅せられて大勢の人たちが集まってきたはず。

 だけど、そういうベルリンの魅力に惹かれて人が集まってくると、町がどんどんつまらなくなっていく気がしてならない。
 貧乏だからこそ保たれていた魅力が、小金持ちがやって来ることで失われる。こういうパターンはベルリンだけでなく、きっと至るところであるんだと思う。

 お金を持つことが悪いこととは全然思わない。お金はあったほうがいいに決まってる。いかに稼ぐかをみんなが考えるから、経済は回っていくわけだろうし。
 ただ、お金って便利で、たいがいのことはお金で解決できてしまう。そうすると、創造性というのは失われやすいように思う。

 これまでたくさんのお宅にうかがってインテリア取材をしてきたけど、リッチな人のお宅は傾向として(あくまでも私の印象)、きれいだけどクリエイティブではない。お金があればインテリアコーディネートは外注すればいいし、使用する素材とかの制約も少ない。
 貧乏な人は、お金で解決できないから、自分好みにするためにすっごく考える。新品を買う代わりに中古品を探したり、自分で作ってみる。
 そういう行動が、ベルリンをセクシーにしてきた一因だと思う。

 だから"ベルリンは貧しい「が」、セクシー"ではなく、"貧しい「から」セクシー"なんだと思う。
 これからもセクシーなベルリンでいてほしいけど、次々とこぎれいになっていく街角を見ては、少しさびしい気持ちになる。

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