古い民家から学ぶもの

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 ベルリンの集合住宅は、19世紀後半〜20世紀初頭にできたものが多い(教会とかはもっと前)。私のアパートも1900年前後にできたものだから、100年は経っているというわけ。

 ベルリンに住み始めた頃は、なんて古いんだろうと驚いたけど、ドイツ国内を旅行するうちに「100年なんてつい最近」と思うようになってきた。
 ベルリンの歴史は比較的新しい。それより何世紀も前の中世から続いている町は、ドイツ各地にある。ドイツという名前ではなく、神聖ローマ帝国(世界史で習ったな〜。当時は想像できなかったけど、ドイツに来てからようやく感覚的につかめるようになった)と呼ばれていた頃の時代ね。

 そういう歴史ある町では、民家でも15〜16世紀に建設された家が残っていたりする。石造りだったり木組みだったり、時代や場所、住人の身分によって家の種類はいろいろ。

 そうした古い民家が今でもきれいな姿で存在しているのは、人々が手間ひまかけているからなんだと、話を聞くとよくわかる。
 木材が傷んだのをそのままにしておいたら、家はダメになってしまう。特に針葉樹の木材は、広葉樹に比べてもろい。外壁だって塗り替える。戦争だってあったから、ダメージも受けていた。そのたびに改装、修復を繰り返して民家は今に至っている。
 
 家に住むには、現代の生活に合わせて建築当時には存在しなかった設備も必要になってくる。つまり、暖房とか、トイレ、シャワーの類。窓枠だって、密閉できる二重窓じゃないと冬の寒さを乗り切れない。そういうものは後から取り付けている。
 だから、外観は古くても、室内は案外モダンなインテリアだったりもするわけよ。それが意外でおもしろい。

 とりわけホテルは、快適さが重要。今回泊まったホテルも建物自体は18世紀のものらしいけど、もちろん室内はすっかりきれい。壁もきちんと塗ってあるし、窓は二重でシャッターも付いている。
 ただ、床がゆがんでいるのがはっきりとわかった。室内を歩くと、明らかに水平じゃない。古い木組みの家を利用したホテルでは、同じような経験をしたことがこれまでにもある。それもまたおもしろい。

 古い家を維持するのは、壊して新たに建て直すよりもずっと手間も費用もかかるはず。それでもこれだけ残っているのは、人々が古いものを慈しんでいるという表れ。

 ドイツに来てから、人類の歴史は連綿と続いていて、自分はたまたま今この時代に生きているのだと感じるようになった。
 日本にいたときは、歴史なんて考えたこともなかった。日本は自然災害が多いからドイツと比較はできないけど、古い家屋や品物から感じるものは大きい。 

twitter:@kubomaga

コメント(2)

いつも、良い記事 ありがとうございます。
日本は、完全を求めて、なにか違う方向へ、、、humanを忘れた方向へ
来てしまった感じを覚えます。
床が完全なる 水平でなくとも その器の中に 本当の幸せがあれば!
それでいい、、、それだけでいい! とも、思える画像
ありがとう ございます。。。

Hal_0319さん、
こちらこそ、Hal_0319さんのツイートには気づかされることばかりです。
日本はいま大変なときで、みんな余裕がないと思うんです。
外国にいる私のような者が日々の生活で思ったことを書くことで、
日本のみなさんに何か感じていただければうれしいんです。
私もいつかは日本に帰ると思うし、
日本という国を誇りに思えるようでありたい。
日本にいた頃よりもずっと、日本のこれからを考えてますよ。

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