NHK『まいにちドイツ語』6月号と、緑と、豊かさと

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表紙を見て「ベリーの季節ね」と思いました

 ドイツ語を勉強している皆さま。NHKラジオドイツ語講座テキスト『まいにちドイツ語』6月号が発売になっております。

 今月号の連載「ドイツのgemütlich(ゲミュートリヒ=居心地のよい)な暮らし」では、公園について書きました。

 私はベルリンに住み始めて以来、豊かさや幸せについてしばしば考えるようになりました。

 ベルリンにいらしたことのない方は、ベルリンはドイツの首都だから東京のように何でもあると思われている方もいることでしょう。

 でも、そうじゃないんです。
 ベルリンは政治機能はありますが、経済的には貧しい都市です。失業率は今年4月の時点で12.3%。ドイツの他の大都市に比べて高い数字です。ドイツは連邦共和国ですから、日本のように東京に一極集中することはないんです。

 現在は都市化の一途をたどっているベルリンですが、それでも世界最先端の店があったり、高級ブランドが売れるという街ではありません。

 じゃあ貧しいかというと、確かに経済的には貧しいのかもしれませんが、ここに住み始めてから「なんて豊かな暮らしなんだろう」と思うようになったんですよ。

 そう思わせる大きな要因の一つが、緑です。

 ベルリンには、大きな公園がとにかく各所にあります。ティアガルテンの210ヘクタール(ちなみに新宿御苑が58.3ヘクタールらしいです)を筆頭に、フリードリッヒスハイン市民公園49ヘクタール、ゲーリッツ公園14ヘクタール......と、徒歩圏内に大小の公園がたくさんあるんですよ。
 ブランコや滑り台があるだけの児童公園ではなくて、木々が茂った緑の公園です。

 そしてこれが重要だと思いますが、公園には芝生があって、ごろんと転がれます。東京だと芝生があまりなくて、地べたに座れない印象があります。

 日常生活に緑があると、どんないいことがあるのか。

 とにかくリラックスするんです。
 心が疲れているときも、誰かと一緒の時も、仕事からの帰りも、公園に寄るとホッとします。
 近くのお店でコーヒーやビール(瓶をラッパ飲み)を買ってきてもいいですし、夏なら敷物と食べ物持参でピクニックも楽しいです。

 そういう、ホッとできる場所が至る所にあるんですよ。日が長い今なら仕事が終わってもまだ明るくて、公園でビールでも1本あければ、こんないい暮らしはないと思います。

 公園なんかより建物を建ててしまった方が、お金が生まれて経済も回ることでしょう。でも公園があることで、私は毎日小さな幸せを感じられ、心にゆとりが生まれる気がします(この点はまだまだ修業中ですが)。

 豊かさって、そういう心のゆとりじゃないかと思うんです。物質的なものじゃ、ないです。お金や物質は、必要以上にたくさんなくてもいい。
 
 そういう気持ちを、東京で暮らしても持ち続けていられるようにするのが、私の目標です。

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