
いつものように非常に遅い午後に目が覚めると、友人から電話がかかってきた。アーティストの彼女とは、仕事で知り合って以来、ときどきお茶などをしている。
「近くのカフェにいるので、よければ来たら」というお誘いだった。
彼女といると、非常に勉強になることが多い。センスがよく、発想が自由で、お金をかけなくても素敵なものを生み出してしまう。
そのクリエイティブな生活を私はとても尊敬しているし、そういう考え方を紹介したいと思って本を書いているつもり。そして、ベルリンにはそういう人が多いんだ。
日曜の1日を一緒に過ごして、彼女の視点をちょっと学んだ気がするので、ご紹介。
まずはカフェでラテマキアートを1杯。安い店だったので、わずか1.5ユーロ(余談だけど、今1ユーロが108円台! 超ユーロ安)。
それから散歩し、その途中で教会に寄る。ちょうど展覧会をやっていたので見学。
礼拝堂の片隅にピアノを見つけた彼女は、興味津々でそれを弾いてみたいと言う。趣味で音楽活動をしているので「ここでコンサートができたらいいなあ」と言い出した。
この辺からして、もう発想が私と全然違う。私だったら教会でコンサートをしようなんて、夢にも思わないもの。
で、許可を求めた結果、別の日なら弾けるかも、ということになった。もしかしたら近い将来、本当にこの教会でコンサートを開いてしまうかも。
こうやって、新たなことがどんどん開けていくんだよなあと実感した。
その後、友人のアトリエへ。新しい作品などを見せてもらいながら、おしゃべり。
そして、また散歩。その途中で、路上に放置された家具や食器類を発見。どうやらクローズした飲食店が、店内の什器を放出したらしい。まさに、もってけドロボー状態。
もちろん、彼女はそこで持ち前のセンスの良さを発揮し、吟味の末に食器類を入手。
インテリアの取材をしていると「これは道で拾ってきたの」という話をよく聞くけど、今日それを実践したというわけ。
それからまたまた歩いて、アイス屋へ。アイスはシングル80セント。2個食べても1.6ユーロ。安いでしょ。
その店先で、彼女は今度は捨てられていた自転車の車輪を発見。ばらされて一つしかない車輪で、普通の人にとってみれば、ただのゴミ。
でも、何かアイディアがひらめいたらしい彼女は、その車輪を持ち帰ることに。
そういえば、この車輪を天井から水平につるし、にいろんな飾りをモビールのように下げて、ディスプレイにした例を見たことがある。彼女もきっとゴミ同然の車輪を、素敵なものに変身させてしまうに違いない。
とにかく彼女には先入観というものがないと思うし、自由な発想ができる。何事も最初からムリと決めつけず、素直に聞いてみる行動力がある。
そういうの、私ももっと学ばないとなあ。ベルリンに来てから、そういう点はずいぶん経験したけど、彼女からはもっといろいろ学べる気がする。
東京にいた頃は、お金がないと何もできないように思っていた。でも、ベルリンではまだまだこういう自由さがあって、お金がなくても楽しめる。
そういうベルリンのよさを、私はもっと感じたいし、紹介したい。
ちょっと違う視点を知ることで、日本の暮らしがもっと楽しくなったらいいなと思う。
twitter:@kubomaga