
震災に関するドイツの報道は日本に比べて深刻な内容で、日本人の私にはきつかった。そして、テーマはすぐに震災の被害から原発事故へと移ってしまった。ドイツ人にとって、原発は大きな関心事だからね。
そんな状況で、何となくドイツ人とコンタクトを取る気がなくなってしまったのよ。
心配してくれるドイツ人の言葉によって、かえって私の心配が増幅したりとか。本当はありがたいって心ではわかっているのに、自分に余裕がないから素っ気ないメールを送ってしまったこともあった。
あれから1ヵ月以上たち、こちらも少し落ち着いてきて、ドイツ人に対する自分の投げやりな態度を反省。
一時帰国も間近なので、その前にドイツ人の友人たちと会ってきた。
そしたら、みんな「日本は大変だよね」「地震もまだあるんでしょ」と、とても共感してくれて。それがとてもうれしかった。
ドイツの報道ですっかり精神的にまいっていたけど、考えてみたら自分の友人から原発問題を持ち出されたりしたことはなかったんだ。いや、この問題は大切だけど、そういう議論をしたくない心境のときもある。
友人だけじゃない。仕事で関わるドイツ人たちは、エキセントリックな調子はまったくなく、ごくまっとうに震災について話し合える人ばかりだった。
震災下においてなぜ日本人が非常に冷静(に見える、ドイツ人には)なのか、原発事故のこと、地震の頻度など、純粋に知りたいという印象を受けたし、既によく知ってもいた。その態度は、これまで私が避けてきた、ドイツ報道のトゥーマッチな印象とはまったく違っていた。
もちろん仕事で関わる人だから、相手もこちらに気遣っている。それでも、こうやって普通に震災について話し合えたのはありがたかった。
結局、私が勝手に被害妄想に陥ってただけだったんだ。腹で感じたことを大切にしようと思っていたのに、それじゃダメじゃん。
それに、日本への義援金を寄付してくれたり、チャリティー活動に協力していくれているドイツ人たちは本当に大勢いる。
これが逆の立場だったら、日本人は外国の災害に対してこれだけ積極的になれるかな?と思う。
普通に話し合えるドイツ人がいてくれて、よかった。これで変なしこりを残さず日本へ行ける。
次回、日本から。
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