ついにきのう月曜日に役所へ行って、婚姻届を提出した。
私はベルリンに行く前からずっと、もう何年間も、今回結婚した相手と一緒に住んでいた。その人と住み始めるときは「一緒に住みたい」とは思ったけど、「結婚したい」とは思わなかった。当時私は働いていた会社を辞めて、新しいところを探していたところだった。そのためには既婚だというと避けられる気がして、独身を通したかったのだ。そして、その後も一度たりとて結婚したいとは思わなかった。
なぜなら、私は人からカテゴライズされるのが嫌だったから。
主婦とか、会社員とか、そういう肩書きを持ちたくなかった。それに、「○○さんの奥さん」とか呼ばれるのも我慢できなかった。相手の姓に変わるのも嫌だった。だけど私は声高に主義・主張をするのも嫌なので、「結婚しない主義」とも言いたくなかった。
でもそれって、結局自信がなかっただけなのかも。結婚によって、自分がなくなってしまいそうに思えて怖かったんだよな。
でも、日本で一緒に暮らし始めてから何年かたって、いろんな人と会ったり仕事をしたりして、そのうちベルリンに住み始めたりしているうちに、いつの間にか「結婚しようがなんだろうが自分は自分」と思えるようになってきた。だからお互いの両親から「そろそろ籍を入れたら」といわれたとき、「もういいかな」という気になったのだ。
こんなふうに何年も結婚を先延ばしにしてきたのだけど、いざ婚姻届を提出したらあまりにもあっけなくて拍子抜けした。感動とかは特にない。でも抵抗感もなかった。
今の気分は、提出前となんら変わらない。これまでこんなにためらってきた結婚というものが、実際にやってみたら、こんなにも淡々としたものだったなんて。でも、こういう境地にいたるには、きっと私には何年間もの時間が必要だったのだ。
もしかしたら、これから徐々に気分も変わるのかもしれない。それを考えるのもまたおもしろい。