インテリアの最近のブログ記事

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リビング兼仕事場です。デスクは写真の手前側にあります


(*ベルリンのお店やライフスタイルに関しては、在ベルリンガイドの松永さんとの共同ベルリン情報ブログ「おさんぽベルリン」をぜひご覧ください。バリバリ書いてます)


 えー、このたびベルリンの自宅が「Yahoo!不動産おうちマガジン」にて紹介されました。→https://realestate.yahoo.co.jp/magazine/fuufumanzai/20170609-00005026

 多くの方に読んでいただけたようで、ありがとうございます。自分好みにコツコツ創り上げてきた愛着のある家なので、とてもうれしいです。
 ということで今回は「Yahoo!不動産おうちマガジン」掲載記念としてベルリンのわが家について書くことにします。

 記事内でも取り上げていただいた『ベルリンの大人の部屋』『ベルリン、わたしの部屋づくり』を始め、これまで何冊もベルリンのインテリアの本を書いてきました。
 本に掲載しているのはすべて一般のお宅で、私が下見に足を運んだなかから特に素敵でクリエイティブだと思った住まいを取材しています。下見だけで終わったお宅も含めたら、200件以上のお宅を訪問していると思いますね。もっと多いかな。

 そういうお宅は、どこもクリエイティブなアイディアの宝庫でね。
 たとえば「あのデザイナーの家具がほしい」とか「ソファがほしいから家具店に行く」という発想じゃないんです。
 そうじゃなくて、例えば自転車の車輪を見たら「これ、何に使えるかな〜」と形や素材から考える。コーヒーカップのソーサーがランプシェードになったり、プランターがCD棚になったりする。クリエイティブだな〜と思いましたね。それまでの私にはない発想で、とっても刺激を受けました。

 そんな経験を通して、私のなかでインテリアのアイディアがたくさんたまったんですよ。アイディアがたまれば、実践したくなるってもんじゃないですか。それを一つずつやっている場所が、今回「Yahoo!不動産おうちマガジン」でご紹介いただいたベルリンのわが家なんです。

 これまで取材してたどり着いた考えは、住まいで大切なのは「自分にとって心地よい空間」であるということ。
 部屋が「おしゃれかどうか」なんて、どうでもいいんです。

 中心になるのは、そこに住む人。自分の住まいは、自分の基準で決めればいいんです。それがわからないという人は、いろいろ見て好きなものを選んでいくと、きっとつかめてくるはずです。

 私がいまの住まいに入居したのは記事にある通り、レンガの壁に一目惚れしたからです。私はどうやら素材の質感が気になるらしく、ゴツゴツしたものに惹かれるんですね。

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ゴツいレンガと、柔らかい花びらの質感の対比を楽しむのが好き


 このレンガは装飾用ではなくて、家の建材として使われているもの。本来ならこのレンガ壁の上にモルタルを塗って、普通はその上にさらにラウファーザータペーテという表面に凹凸のある壁紙を張って、さらにさらに白いペンキを塗って仕上げます。
 でもこの部屋は、数代前に住んでいた人が大家さんの許可を得て、モルタル壁の部分を削ってレンガをむき出しにしたそうです。もちろん賃貸アパートですよ。

 壁を削るのはさすがに許可が必要でしょうが、壁に色を塗ったり、穴を開けて棚などを付けるのは当然のことなので許可は不要です(ベルリンの場合)。退出時に元通りにすればよく、ドイツ人にとってそうした作業はお手のもの。だからこそ、自分好みに家を設えることができるんです。
 レンガの壁は本来なら元通りにすべきだったのでしょうが、大家さんまたは次に入居した人がその状態でいいと言ったから、そのまま残っているのだと思います。

 レンガ壁の向かい側に位置する壁は、一面だけピンク色にペイントしました。記事中の1枚目、私が仕事中の写真がありますが、背景になっているのがその部分です。
 ピンク色の部分は仕事コーナー。バラ色気分で仕事ができるようにという狙いと、部屋が明るくなるかな、という理由から。この部屋は北向きなので、冬は暗いんですね。ペイントを一面だけにとどめたのは、そのほうがバランスがいいし、主役であるレンガ壁の周りは白いままにしてレンガを引き立てたかったからです。

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ソファとスタンドライトはどちらもミッドセンチュリーのデンマーク製

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ドイツ&デンマークのアンティークフレーム。小さいフレームをギュッと集中して飾るのが好き。
視点を集める効果もあります


 家具は蚤の市・ユーズド家具店で買ったものと、人からのもらいもの。ベルリンで蚤の市に通うようになり、ドイツのミッドセンチュリーデザインに目覚めました。
 写真に載っている一人がけのソファは、典型的なドイツ50年代デザインです。こうしたドイツ家具に北欧ミッドセンチュリー家具をミックスするのが、私の好きなスタイル。年代が同じせいか、国が違ってもよく馴染みます。
 一つの国や年代、デザイナーに統一するのは、「キメすぎ」な気がするのでやりません。ほどよくミックスするのが好きで、これまでベルリンで取材してきたお宅もそうでした。

 何年もかけて集めた家具には愛着があります。日本に本帰国するときは、家具を持ち帰りたいと思っています。
 でも日本の住環境でこの家具たちが生かされるかは、正直言ってわかりません。日本の住まいに置いてみたら違和感があるかもしれません。そのときはそのときで考えます。

 住まいには、建物自体が持つ佇まい、そこに住む人、過ごす時間などすべてが集約されていると思います。私が好きなベルリンのこの住まいも、別の人が住めばまったく違うものになることでしょう。私自身も変わっていくと思います。
 住まいって、生き物のようなものかもしれませんね。


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書店で発売中!インテリアの実例がいっぱい

(*ベルリンのお店やライフスタイルに関しては、在ベルリンガイドの松永さんとの共同ベルリン情報ブログ「おさんぽベルリン」をぜひご覧ください。バリバリ書いてます)


 いやー、もう6月ですね。毎日があっという間で、びっくりします。

 さて『PLUS 1 Living(プラスワンリビング)』No.87 Summer2014号(主婦の友社)が現在発売中です。

 なんとこの号から新連載「From Berlin フリマメイドのインテリア」が始まりましたーーー!!!

 本当にうれしいです。
 前号まではベルリンの拙宅をDIYで自分好みに作り上げる連載「ベルリン暮らしのプラスワンDIY」を担当しておりましたが、それが予定通り完結し、もうインテリア連載は書けないかと思っていました。
 それが、新たなテーマでスタートできることになり、それが決まったときは部屋でひとり「おぉ〜っ!」と叫びましたよ。

 記念すべき1回目は、アンティークの薬瓶を一輪挿しに見立ててっつかってみました。私がやっているヴィンテージ雑貨ネットショップアムゼル(現在お休み中でごめんなさい。なるべく早く再開したいと思っています)で扱っている商品です。私自身もこの瓶が好きで、家でよくこうして使っているんですよ。


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アンティークの薬瓶。絵になります

 古い品は、それ自体に独特の雰囲気があるから、絵になるのだと思います。この連載では、そうした古い品(でも高価でなく、気軽に使えるもの)を日々の暮らしに取り入れる例をご紹介していきます。ベルリンのフリマ情報もお伝えしますよ。

 また、同誌でこれまでも担当している「世界のインテリアTOPICS」では、これからも引き続きベルリンを担当いたします!
 季刊インテリア誌『PLUS 1 Living(プラスワンリビング)』、どうかよろしくお願いします!

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これが元々の椅子

 一時帰国前に寝室の壁紙を貼っていたときのこと。
 床に新聞紙を広げていたので、ベッド前に敷いていた小さな敷物を何気なく椅子に置いてみた。

 すると、何でもない椅子が急にかわいく、心地よさそうな感じになったのよ。こんなふうに。

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ふわふわで気持ちよさそう〜

 「あれ、この感じ、どこかで見たような......」と思ったら、これって『レトロミックス・ライフ』で取材したスタイルだ。

 本書では、椅子にファーをかけている人が多数登場。ファーがあると見た目にも座った感触も心地いい。
 簡単にできるのもいいところ。普通の椅子も、ファー効果でいい感じ。

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壁紙に合わせてランプシェードも藤色に。今度はランプの脚を白くしたい

 久々の「新居インテリア」シリーズ。私が今のアパートに入居してからコツコツと内装に手を加えている内容を紹介するシリーズです。
 これをまとめてご覧いただくには、右側にある「検索」の欄に「新居インテリア」と入力してボタンを押してください。一連の記事が出てきます。

 入居以来ずっと夢見ていたことのひとつが、寝室に壁紙を貼ること。私の寝室は天井、壁、床すべてが真っ白で、質感のせいもあり、すごく冷たい印象だった。

 寝室では、ゆったりと穏やかな気持ちになりたい。だから派手な色・柄は使いたくなかったけど、どこも真っ白では冷たすぎる。
 もっと静かで、でも温かい雰囲気にしたかった。

 だから、壁紙を貼りたいと思っていた。

 貼る壁紙は、私の中では決まっていた。私の大好きなシルクスクリーン作家のビルギットさんの壁紙

 ビルギットさんの作品は、1枚1枚すべて手刷り。繊細で温かくて、とても存在感がある。私は作品を一目見たときから、その世界に引き込まれていた。ビルギットさんの壁紙を寝室に貼ったら、自分のイメージ通りになるだろうと思っていた。
 迷いはなかった。

 入居して1年以上経ち、他の部屋が徐々に整ってきたので、いよいよ寝室に手を付けることにした。

 壁紙を貼るのは初めて。共著『ウォールペーパー・インテリアレッスン』(グラフィック社)で、壁紙貼りのプロセスを取材したことはあるけど、自分では貼ったことがなかった。

 もし自分で貼ったら、私の書く原稿にもっと説得力が出るんじゃないか。経験したからこそわかる視点が備わるはずだ、という思いもあった。
 海外インテリアの本はたくさんある。写真を眺めるならどの本も素敵。それに加えて、自分は説得力のある原稿を書きたい。だから自分でも経験したかった。
 それも、壁紙を貼りたかった一つの理由。

 果たして実践してみると、見るのとやるのでは大違い。

 私の寝室は塗り壁になっていて、表面に凹凸がある。壁紙の下地はフラットな状態が理想。でも、自分で平らに塗るのは至難の業。

 だから、下地用の白い壁紙を貼ることにした。
 ところがこれが大問題。糊を塗った壁面に壁紙を貼ったところ、紙が湿って表面がウネウネに波打ってしまった。

 大丈夫なの、これ? と心配になり、数枚貼っただけで様子見。
 幸い翌日には乾燥して、うねりも取れた。

 安心して残りも貼ったら、今度は乾燥してもしわになって取れない。失敗。がっかりした。仕方なく剥離剤を使って、下地壁紙をはがした。
 そんなわけで、大幅に時間がかかってしまった。

 なんとか下地を終え、いよいよビルギットさんの壁紙を貼ることになったのは作業開始後数日経ってから。

 ビルギットさんの壁紙はフリース製で、紙製の下地壁紙より貼りやすかった。
 それでも貼った直後にはうねりが出てしまい、祈るような気持ちで窓を全開にして乾燥させた。
 だって失敗できないもの、余分がないんだから。壁紙は受注制作だから、失敗して足りなくなったら、また依頼しなくてはならない。

 私がDIY師匠と呼ばせてもらっている友人の助けを借りながら、なんとか最後の1枚を貼り終え(それは彼女の手による物だけど)、それが乾いてきれいな状態になったのを見た時は、心底うれしかった。

 夜になり、寝室の壁紙をぼーっと見ていた。静かで温かな部屋。自然に笑みがこぼれてきた。
 
 壁紙を貼ったら、こんなにしあわせな気持ちになれる。しかも自分でやったからすごく思い入れがある。
 毎朝、毎晩、しあわせな気持ちで過ごせて本当にうれしい。

 インテリアは、人をしあわせにする。

 この壁紙貼りの様子は、プロセス写真付きで5月発売の『PLUS1 LIVING プラスワンリビング』(主婦の友社)の連載「ベルリン暮らしのプラスワンDIY」にて詳しくご紹介します。
 ここに書いていないことも書きますので、どうかご覧ください。
 発売時には、またお知らせします。待っていてください。
 

衣食住の順番

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自分にとって心地いい環境づくり

 ベルリンに好んで住み続けている日本人は、ここが好きだからそうしているわけで、価値観が似たような人たちが自然と集まっているような気がする。

 今日も日本人の友人と話していて「衣食住で大事な順番は?」となったときに、彼女も私も「住>食>衣」の順番だった。

 「住」と「食」の間はそんなに差がなくて、ほぼ同じぐらい。で、ダントツで「衣」が最下位。服に関しては、2人ともかなりどうでもよくなっていた。

 日本にいた頃は違ったよね、と。たぶんそのまま日本(東京)で暮らしていたら、衣>食>住と、今とはまったく逆の優先順位だったんじゃないかな。

 価値観は環境に左右される。ベルリンでは、東京に比べたらはるかに安い家賃で広いアパートが借りられる。だからこうなった。
 
 でも「住」が大事といっても、決して高価な家具を買っているわけではない。人から譲ってもらったり、蚤の市で見つけてきた家具を集めながら、徐々に自分のイメージに近づけていく。自分でできることは自分でやる。
 だから、すごくスローテンポ。年単位で考えていたりする。

 そういう過ごし方は、日本から見たら貧乏くさいと思われるのかもしれない。
 でもベルリンに来て、豊かな暮らしとはこういうことを指すんじゃないかと思うようになった。少なくとも私は、こういうのが豊かだと思う。

 住まいは、生きる上での基本。
 食も体を作るから、生きる上での基本。
 着る物は、基本があった上での楽しみかな。

 日本の住環境がベルリンとは違っても、身の回りを整えて自分の好きなイメージに近づけていくことはできる。

 私はこれまで「インテリアとは室内を飾り立てるものではなく、自分が気持ちよく過ごせるように整えること」と折に触れ書いてきた。住まいが自分にとって心地いいと、気持ちいい循環が生まれる気がするんだよね。

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