
(17日付の記事より続き)
あやうく競売物件を押しつけられるところだったが、ドイツ人のアドバイスで契約書を保留にすることに。サインをしない限りは、契約書は効力を持たないから大丈夫。
そんなわけで、またもや家を探さなきゃならない状況に陥ったが、最初の契約ドタキャンの経験で学んだ私は「サインをするまでは家は見つかっていない」(どうでもいいが、これって「家に帰るまでが遠足だ」というのと似ている)と自分にいい聞かせていたので、競売物件を(そうとは知らずに)予約した後も、物件チェックは続けていたのだった。
そして、またもやよさげな物件の見学会が。さっそく見に行くと、日当たりが悪いのが難だが、それ以外はすべていい。家賃は競売物件よりこっちのほうが安いし、立地もいい。さっそく応募することにした。このころになるともう、応募もすっかり慣れたもの。応募書類送付はファックスでかまわないから、いったん作った証明書はそのまま使い回しがきく。というわけで、見学したその日の午後に、速攻で応募した。
すると数日後に不動産屋から電話が。「契約しませんか」という。私は競売物件の方をまだペンディングにしていたが、こっちのチャンスも逃すまいと思い、ひとまず「契約にうかがいます」と返事した。なんといっても、契約書を見ない限りはまた何があるかわからないんだから。その場で読んで、やばければサインをせずに帰るまでだ。
で、契約当日。一人では心細いので、またドイツ人についてきてもらう。頼んでばかりで心苦しいが、私一人では契約内容を理解できないんだからしょうがない。とりあえず「本当にありがとう」と、礼をいう。
事務所に着くと、契約書が用意されていた。一通り目を通したそのドイツ人、「これがまっとうな契約書だ」という。ああ、3度目にして初めて巡りあえたフツーの契約書。となれば、あとは本当に私がこの家に住みたいかどうかだ。
そこで悩んだのが、例の日当たり問題。この家は中庭に面した1階(日本でいう2階)で、北西に位置している。それはつまり、日が当たらないということだ。これから秋になって日が当たらない場所に住んでいると、それだけで鬱が入りそう。私は日中は家で仕事をするから、なるべく明るい部屋がいい。今の家は南向きで、通りに面した4階(日本式の5階)だから、日当たりは最高。昼間はぽかぽかあったかい。でも、この家を契約したらそれは無理なんだなあ......と思うと、かなり迷う。
一方で、それ以外の条件は最高だ。これまでに見た物件の中には、同じように日当たりが悪いのに、もっと場所が悪い上に家賃が高いところもあった。今後家探しを続けても、この物件と同じくらいいい条件の家が見つかるとは限らない。
ああ、どうしよう、と悩んでいたところに決定打が。「ところでProvision(プロヴィズィオーン=仲介手数料、要するに礼金)は?」と聞いたところ「それは不要です」との返事。実はその不動産屋さん自身が、物件の持ち主だったのだ。不動産屋=大家なわけだから、礼金は不要。普通は2カ月分ぐらい取られるのが当たり前で、礼金だから敷金と違って返ってくることはない。その礼金がいらないのは、かなり魅力だ。
同席していたドイツ人も、不動産屋と話すうちに「この物件なら問題ないし、いいんじゃないか」といいはじめた。私も競売物件を契約したくはないし、これ以上家探しに時間と労力を費やすのも嫌になってきた。それに、数日後に出張を控えていたから、できればその前に決めておきたかった。
これはもう、この家を契約する流れになっている。そう思った私は、3度目の正直で、ついに契約書にサインをした。
こうして、約20日間に渡る家探し活動は、めでたく幕を閉じた。限られた時間の中で私はベストな選択をしたのだ、と思いたいし、実際にそう思っている。だからたとえ今後、日当たりの悪さが気になったとしても、きっと自分で納得できると思う。
私が出していた条件
プレンツラウアーベルク地区
1Zimmer-Wohnung(1Kの間取り)
家賃月額300ユーロ以下(warm=暖房費込み)
できればセントラルヒーティングであること、石炭ストーブは不可
アルトバウ(築100年以上の古い建物、天井が高く雰囲気がいい)
なるべく日当たりがいいこと
なるべく駅から近いこと
なるべく床は板張り
見学した物件数:10件
応募した物件数:6件
契約までこぎつけた物件数:3件
契約した物件数:1件
お部屋探し
大変そうでしたが決まったんですね。
おめでとうございます。
ようやく決まってほっと一息でいているところ。
でも、これからまた電気や水道の契約とか、いろいろあるのよね。まあ、入居時はいろいろあるのは仕方ないね。