
ここのところ毎回ボルハーゲンの話だけど、これで最後にするので。
私は陶磁器に弱いけど、どちらかというと素朴な陶器よりも繊細な磁器が好き。
連載でボルハーゲンを取り上げたのは、その作品を紹介したかったというのもあるけど、ボルハーゲンの人生が素晴らしいなあと思ったから。
ボルハーゲンは若いときから「自分には陶芸だ」と思ったそうで、その生涯をただひたすら陶芸に費やしたという。朝から夜遅くまで、ずっと工房で作業していたというエピソードがある。生涯を終えるまでデザインを考え続けていたらしい。
いつもブルーのギンガムチェックのスモックを着て、髪をひっつめたその姿は写真でしか見たことがないけど、とてもかっこいい。
ボルハーゲンのように「自分にはこれ」というのがわかっている人生というのは、きっとしあわせだろうなと思う。
でも、「これ」というものが見つからない人の方がきっと多いはず。
私もそうだった。就職活動をしていたとき、自分には「これ」というものがないからとても苦しかった。このまま就職して、何となく人生が過ぎちゃうのかなあ、って。
今も「これ」と呼べるものがあるのかわからないけど、好きなようにやってこられて、今こうしてボルハーゲンのことを書けたり、素敵な人やものを紹介できるんだから、しあわせなことだ。
ボルハーゲンの人生はかっこいいと思うけど、みんながみんなそういう人生を目指す必要はないもんね。
twitter:@kubomaga