2011年1月アーカイブ

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 ここのところ毎回ボルハーゲンの話だけど、これで最後にするので。
 私は陶磁器に弱いけど、どちらかというと素朴な陶器よりも繊細な磁器が好き。
 連載でボルハーゲンを取り上げたのは、その作品を紹介したかったというのもあるけど、ボルハーゲンの人生が素晴らしいなあと思ったから。

 ボルハーゲンは若いときから「自分には陶芸だ」と思ったそうで、その生涯をただひたすら陶芸に費やしたという。朝から夜遅くまで、ずっと工房で作業していたというエピソードがある。生涯を終えるまでデザインを考え続けていたらしい。
 いつもブルーのギンガムチェックのスモックを着て、髪をひっつめたその姿は写真でしか見たことがないけど、とてもかっこいい。

 ボルハーゲンのように「自分にはこれ」というのがわかっている人生というのは、きっとしあわせだろうなと思う。
 でも、「これ」というものが見つからない人の方がきっと多いはず。

 私もそうだった。就職活動をしていたとき、自分には「これ」というものがないからとても苦しかった。このまま就職して、何となく人生が過ぎちゃうのかなあ、って。
 今も「これ」と呼べるものがあるのかわからないけど、好きなようにやってこられて、今こうしてボルハーゲンのことを書けたり、素敵な人やものを紹介できるんだから、しあわせなことだ。
 
 ボルハーゲンの人生はかっこいいと思うけど、みんながみんなそういう人生を目指す必要はないもんね。

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 前回、『NHK テレビでドイツ語』2月号テキストの連載で、「ヘドヴィッヒ・ボルハーゲン」の工房を取材したと書いたけど、この工房は毎月最終水曜日の13時から工房見学ツアーを行っている。その時間に行けば、誰でも参加できる。

 見学ツアーでは、職人さんの案内に従って、作業工程を一通り見て回る。この工房は、一つひとつが本当に手作業。手作業ならなんでもいいとは思わないけど、こういう趣味性の高い品物は手づくりならではの味わいが感じられるのがいい。

 工房では直売コーナーもある。実は私も取材後に買ってしまった。ボルハーゲンの食器はドイツ国内でも取り扱っているところが意外に少ない。
 しかも一部のシリーズしかないので、ほしいものを確実に手に入れるには、この工房直売所で買うのがいちばんだと思う。

 日本にも輸入されていると書いたけど、クリーム×黒のストライプのシリーズ(2月号テキストのP89の商品)のみ。ボルハーゲンの代表的なデザインといえる、青の濃淡ストライプは日本では販売されていない。
 どうしてかな。これは日本では受けないと判断されたんだろうか。

 もっとも、クリーム×黒は黒い色を出すのが難しいらしい。そういう意味で、貴重なシリーズかも。

 私が買ったのはビーネ(ミツバチ)というシリーズ。これは青一色で、名前通り模様がミツバチに見える。シンプルだし、和っぽい印象もある。何よりサイズが大きくて(カップの直径12cm)、常にお茶をがぶ飲みしている私にはもってこい。
 今夜もこれで、お茶をがぶがぶ。

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 ところでみなさま、ドイツ語の勉強ははかどっていらっしゃいますか。ええ、私はまあ......ぼちぼちです。ベルリンでの生活そのものが勉強ということで、ひとつご勘弁ください。
 そして今月もNHKテレビのドイツ語テキストが発売になっています。

 今月の連載「ベルリンからの小さな旅」は、まさに私の趣味まるだしで行ってまいりました。それが粘土街道にあるフェルテンとマルヴィッツです。

 粘土街道の粘土は、陶器の原料となる粘土。その粘土が採れる街道が、ベルリンからすぐ近くを通っているんです。

 陶芸と来れば、食器。もう、私、陶磁器に弱いんです。
 自分で買うのは本当に好きなものだけだけど(収納スペースに非常に限りがあるため。財力も非常に限りがあるのも大きな理由)、いろいろと見るのはすごく楽しい。
 「あー、このカップには一粒チョコを入れてもいいし、こっちは洗いざらしの白いクロスを敷いたら似合いそう」なんて、妄想の世界にエンドレスに浸ってしまいます。

 当然、この取材でも妄想に浸っておりました。妄想していた食器は「ヘドヴィッヒ・ボルハーゲン」という陶芸作家の作品です。陶芸作家の彼女の名前がそのままブランド名になっていて、一部の商品(本当に一部だけ)は、日本でも輸入されているので購入できます。

 ボルハーゲンの食器は、本当に素朴です。どんな雰囲気かは、テキスト口絵ページに掲載されている写真をご覧ください。

 ボルハーゲンの工房のほかに、「ストーブ・陶器博物館」も見学してきました。これも楽しい! ストーブといっても、陶器のタイルでできた芸術作品とも呼べるもの。一見の価値ありです。

 詳しくは、ぜひテキストで。そのほかの連載と、もちろんドイツ語のスキットもお楽しみください。

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 クリスマスの一連の行事というのは、実は1月の6日まで続いている。この日が終わると本当にクリスマスはおしまい。

 となると、クリスマスツリーとして飾られていたもみの木もその役目を終えて処分されることになる。通りに出して(というか捨てて)おけば、そのうち回収されるという仕組み。

 私が日本にいたとき、「もみの木は窓から下へ投げて捨てるんだよ」と聞いたことがあり、そのときは「ドイツ人って大胆だなあ」と思ったものだ。実際に、一度だけ窓から落ちてくるもみの木を見たことがある。

 でも普通に考えて、こんな大きなもみの木を下に投げ捨てるなんて危ないじゃない? 人が歩いているんだし。
 それで本当に窓から投げ捨てるのか聞いてみたら、そんなことはしないという答えが返ってきた。やっぱりねえ。

 で、どうやって捨てるのかといえば、もみの木をロープで吊して窓から下へそろそろと下ろしたり、袋にくるんで階段を下りるらしい。もみの木はカットされて1ヵ月はたっているので、乾燥しきっている。だから、袋に入れないと葉がポロポロ落ちて大変。

 そんなことを聞いていると、飾るのはいいけど後片付けは大変。片付けを考えて、ミニサイズとか出ないのかなと思ってしまうのは、日本人的発想かな。「お一人さまもみの木」とかさ。

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 ベルリンのMoabit地区に、Arminiusmarkthalleというマルクトハレ(室内マーケット)がある。1891年に建てられた、昔のターミナル駅を思わせるような重厚な建物で、文化財保護の扱いになっている。
 中はいろいろな小売店が連なっている。ベルリンにはこういう歴史的なマルクトハレがほかにもあるけど、ここはとても風情がある。

 そのマルクトハレに、新しくセレクトショップコーナーが年末にオープンしたというので、ちょっと見に行ってきた。

 そのコーナーはzunft[werk]という会社が運営していて、広いホールの一角に食器・手作り雑貨・家具・食品・ワインなどを販売していた。何かちょっとしたプレゼントを探すときに、ちょうどいいような感じの店。

 見たところ、商品自体は悪くないんだろうけど、どの分野も品揃えが少ないのでそこがネックかな。
 例えば、食器とジャムを組み合わせてプレゼントに、と思っても、食器のチョイスが少なすぎる。食器を置くなら、もう何人かの陶芸作家の品を増やした方がいいような気が。

 あとは、価格帯と客層が一致しなさそうな予感。このマルクトハレは本当にきれいで、その点ではセレクトショップのコンセプトにぴったりなんだろうけど、建物があるMoabit地区は富裕層が住むエリアではない。

 しかもマルクトハレ内のほかの小売店は、決して高級店ではない。「超普段着」っていう店が並ぶ中で、ある一角だけちょい高級っていうのは、どうなんだろう。セレクトショップに来るお客さんは少しだけ特別感を期待しているだろうから、超日常的な肉屋さんや八百屋さんを通り抜けて行きたいだろうか。
 
 数カ月後どうなっているか、また見に行ってみよう。うまくいってそうなら、何かの機会に取材してみたいし。

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暗い冬にはキャンドル

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 なんだかベルリンもウソのように暖かくなったとはいえ、まだ暗い。
 暗い冬にはキャンドルがつきもの。キャンドルを灯しただけで、なんだかゆったりとした気分になる。

 キャンドルを使うには、キャンドルスタンドやホルダーがあるけど、私はティーライトをホルダーに入れて使うのが好き。ホルダーだと炎がちらちらと揺れて、すごく落ち着くから。ティーライトはドイツではすごく安いから、気兼ねなく使えるのも魅力。

 キャンドルをつけたら、天井の照明は消してしまう。で、デスクライトとスタンドライトを数カ所つける。これに好きな音楽とお茶があれば、暗い冬もなんて快適!

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 イスタンブールから戻り、またいつもの生活へ。もう仕事しないとやばい。本当にやばい。

 さて、実はイスタンブールへ旅立つときに、空港のスタバで「レープクーヘン・ラテ」なる飲み物を見つけた。
 私はベルリンでは、スタバには行かない。もっと安くていいカフェがたくさんあるから、スタバに行く意味を感じられないのでね。
 でも空港では店が限られている。だいたい空港の店って、なんであんなに高いんだろう。あれはぼったくりと言ってもいいんじゃないだろうか。
 なので、空港に限ってはスタバに行くこともある。そこで見つけたのがこのラテ。

 レープクーヘンというのは、日本でもメジャーになっている(?)ドイツの伝統的なクリスマス菓子。いろんな種類があるけど、ナッツの粉、小麦粉、スパイスなどを混ぜた生地を焼き、表面にチョコレートや砂糖の上掛けを施したものが一般的。

 そのレープクーヘンのラテってどんなのだ? と、好奇心で頼むことに。外れな味だと困るので、いちばん小さなサイズで。ちなみにドイツではショートサイズは存在しないから。最小サイズはトールね。

 果たして、出てきたものは生クリームがたっぷり乗っかった代物。一口飲んでみると、あー、確かにレープクーヘンの香りがする。シナモン系の香り。
 以前取材したときに、レープクーヘン専用に調合されたスパイスがあると聞いたけど、要はラテにそのスパイスを入れ、生クリームを絞ればいいみたい。家でも簡単にできそう。

 でも普通のラテの方がいいかな、やっぱり。まあ、冬の寒いときにはこういうこってり系もいいかもしれないけど。

 ところでレープクーヘン・ラテって、ドイツだけのご当地ラテかな。日本で出しても売れなさそうだしね。

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 ベルリンに戻ってきた。イスタンブール旅行ではあちこち観光して、とてもじゃないけどすべては書ききれないので、簡単にまとめ。

●「トルコ人は親日家」は、かなり正解
 名所旧跡が集中している旧市街で、いったい何度日本語で話しかけられたか。しかも片言程度ではなく「日本に住んでいました」「日本語を習っています」と、かなり流ちょうに話す人が多い。
 話しかける目的は、つまるところお土産店への勧誘だったりするんだけど、ごり押しでもないし、嫌な印象はなかった。

●街が広い、そしてきれい
 旧市街、新市街、アジア大陸サイドと分かれているので、一通り見たければ1週間は必要じゃないかと。私は気ままな散歩も好きなので、そういうこともしていたら1週間でも足りなさそう。
 街自体は想像していたよりずっときれいで、整っていた。アジア的な印象はなく、ヨーロッパの街の雰囲気に近い。

●少なくとも旧市街は治安は悪くない
 旧市街にいた限りでは、治安は悪くなかった。観光客が多く、危険な雰囲気はなかった。
 もちろん、スリに気をつけるのは世界共通。それは日本だって同じこと。

●レストランはトルコ料理ばかり
 レストランはトルコ料理が基本。中華料理やコーヒーショップ(スタバのような)は、ごくわずか。トルコ料理は世界三大料理の一つに数えられているらしいけど、うーん確かにおいしいけど、毎日はきつい。

●イケメンが多そう
 濃い系が好きな女性にはきっとパラダイス。

 以上、思いつくままに。
 今回イスタンブールに行ったことで、トルコがより身近に感じられそう。
 ドイツにはトルコ人の移民が大勢いる。私にはトルコ人の知人はいないし、接点もなかったけど、これからはまた違った視点で見られそうな気がする。

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 今日はまず地下宮殿へ。ガイドブックによると、ここは4〜6世紀に造られた地下貯水池だとのこと。
 とにかくここはすごい。一見の価値がある。
 地下への階段を下りると、円柱に支えられた巨大な空間が現れる。真っ暗ななか、下から照らす赤い光が神秘的。
 底には水がたまり、魚が泳いでいる。見学者は水上に架けられた歩道の上を歩く。天井からはぽたぽたと水がしたたり落ち、うっかりすると滑りそう。

 円柱はギリシャやローマの神殿から調達したものだそうで、なるほどそれぞれ微妙に違う。要するにリサイクルなわけで、ある意味時代の先端を行っている。

 なんだか遊園地のアトラクションのよう。ちょっとディズニーランドのカリブの海賊の雰囲気か(そんなのと比べるなって)。でも、それより1000倍以上すごいから。なんたって、4〜6世紀にできた本物の貯水池なんだから。

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海辺と猫の関係

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 イスタンブールを歩いていて、すぐに気づいたこと。それは、猫が多いこと。

 とにかく多い。街角のいたるところにいる。観光名所の敷地内にもいる。餌付けをしているおじさんもいる。

 これまで旅行した街で猫が多いなと思ったのは、ヴェネツィアとクロアチア。どちらも海辺。そしてイスタンブールも海に面している。海辺には猫が多いの? 

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 イスタンブールに到着。ここへ来てみたいと思ったのは、東西文化の融合地点でおもしろそうだったのと、イスラム文化圏への興味から。あと、ベルリンよりは暖かいのも魅力的だった。冬場の旅行は、とにかく少しでも暖かいところへ行きたいものだから。

 今日はじめてイスタンブールに降りた。空港から外に出て感じたのは、ドイツとは違うにおい。ちょっと暖かいような、ほこりっぽいような、そんなにおい。

 着いたのがもう夕刻だったので、今日はモスクの観光はなし。カメラ片手に街をぶらぶらうろついた。こういう単なる散歩が、名所旧跡観光よりも実はずっと好き。
 だいたい、どの街に出かけても、私のやることはいつも一緒。カメラ片手にぶらぶら、パチパチ。これがいちばん楽しい。

 で、歩き疲れたら当然カフェね。
 もう日が沈んで真っ暗になった頃、たまたま通りかかったカフェの店内が無数のランプで浮かび上がっているのを見かけた。なんだかすごい惹かれる。入らずにはいられない。

 ガラスの扉を開けると、天井から下がった色とりどりのガラスのランプが降ってくるように輝いていて、見とれてしまう。
 猫脚のアンティーク家具と紅い壁紙は、何となくイギリスのヴィクトリア調っぽい雰囲気。シンメトリーっぽくまとめて飾ってある壁の絵も、ヨーロピアンなイメージを強調している。
 この温かみのある色味に、エキゾチックなランプとペルシャ絨毯がとてもよく調和している。
 このランプもペルシャ絨毯も、単体で見るととってもエキゾチックでインテリアに取り入れにくそうと思ってたけど、このカフェのように合わせたらとっても素敵。

 日本の部屋でそのまま再現するのは難しいだろうけど、壁や小物を暖色系にしたら、かなりいい感じになりそうな気がする。

 居心地のいい空間にすっかりはまって、チャイ1杯で長いこといてしまった。

 このカフェはホテルの一角にある。ホテルも似たような雰囲気のようなので、もしまたここへ来られるならば、今度はこのホテルへ?
The Kybele Hotel

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 新年あけましておめでとうございます。ベルリンの新年はいつも花火とともに幕が開きます。

 年末になると花火の販売が解禁になり、みんなロケット花火などを買い込んで新年に備えます。そして新年と同時に打ち上げ(大晦日の日没頃から待ちきれずに上げる人も多数)。街中から花火が上がり、爆音が反響し、煙が立ちこめ、ああ、新年を迎えたなと思います。

 今年もこうして心穏やかに新年を迎えられたことに感謝。
 昨年はこのクボマガブログで、ツイッターで、みなさんからのお声をいただき、本当にありがとうございました。私の仕事は、みなさんのことを考えながらも、結局はパソコンに向かって一方的に黙々と書くだけ。だから、みなさんからのお声が励みになるのです。

 今年もやりたいことがいろいろあります。そして、今年はこのクボマガ(私のホームページの名称です)も、誕生からなんと10周年を迎えます。
 お知らせや日々の雑感など、これからもこのクボマガで綴っていきます。
 この1年がみなさまにとっても、私にとっても充実した年となりますように。本年もどうかよろしくお願いします。

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