南ドイツの旅の終わり

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 南ドイツから戻ってきた。南はすっかり春で、どの町でも桜が、木蓮が、チューリップが花ざかり。お天気にも恵まれて、写真も撮れてほっとした。仕事の旅だから、その辺のプレッシャーは常にある。

 今回私が旅してきたのは、ドイツ南西部に当たるバーデン・ヴュルテンベルク州。中でも州西部のバーデン地方はフランスと国境を接していて、料理もワインもおいしい。山と川がある風景も、日本人には馴染みやすい。経済的にも豊かな州なので、全体的に生活が豊かという印象を受けた。

 毎日たくさん歩いて、見て、食べて、飲んでいると、出発した1週間前が遙か昔のことのように思える。
 旅の最後の夜、驚いたことに「寂しい」という感情が湧いてきた。1週間という期間は、そういう気持ちを引き起こすのに十分な長さなのかもしれない。それだけどっぷり南ドイツに浸っていんだろう、きっと。

 6時間かけて列車でベルリンに戻ってきたら、見慣れた町がなんだかグレーに見えた。お天気も悪く、花もまだ咲いていなかったから当然なのかもしれない。でも、南のメルヘンチックな建物に比べ、ベルリンの町並みは素っ気ない。

 だけど、やっぱり私はベルリンが好きだし、ドイツではこの街以外に住むことは考えられない。私にとってベルリンはベルリンであって、ドイツではない。
 これからまた日常生活に戻る。まずはこの旅行の原稿を書いて......、数ヵ月後をどうかお楽しみに。

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