月刊『カフェ‐スイーツ』(柴田書店)9月号(vol.126)が発売中です。
今月の「ベルリン カフェのインテリア」は、照明がテーマ。照明は、日本とベルリンのインテリアでもっとも大きく異なる点の一つでしょうね。
今号はベルリン・プレンツラウアーベルク地区にニューオープンした「エンゲルベルク」というカフェを紹介しながら、照明について説明しています。
日本では空間全体を明るく照らしがちですが、そうするとあまりリラックスできません。カフェは(コンセプトにもよりますが)落ち着きたい場所のはず。
「エンゲルベルク」の照明は、リラックスできる照明のお手本という感じ。隅々まで明るくするのではなく、場所に合わせて照明器具と方法を効果的に用いています。ペンダントライトの位置、視線の導き方、見ていて本当に参考になります。
今号でご紹介した照明のセオリーは、北部ヨーロッパではよく知られています。だからドイツだけでなく北欧でも、今回ご紹介しているような照明方法が取り入れられています。暗くて長い冬があるので、光に対する感覚が敏感なんでしょうね。
でも、日本でも谷崎潤一郎が『陰翳礼賛』を書いたのにね。あの頃の日本人の美意識は、どこへ行ってしまったのやら。
もちろん、日本では光の強さも日照時間も、瞳の色もヨーロッパとは違います。インテリア関係の記述をするたびにほぼ毎回書いていますが、何もそっくりそのまま真似る必要はないんです。
お店だったらなおさら、お客さんから支持されるインテリアでなくてはなりませんよね。お客さんが明るい店内を好むのなら、そうした方がいいでしょう。
でも、日本にいるだけでは知り得ない考え方やセンスが外国にはあります。それを紹介するのが私の役目かなと。
そして、そういうインテリアの考えを試していただけたら、日本のカフェや個人宅のインテリアも、もっと自由でおもしろくなると思っています。似たようなものばかりより、いろんなバリエーションがあった方が楽しいでしょ?
インテリアに限らず、服装も生き方も、もっともっといろんな選択肢があっていいと思うんです、日本。
twitter:@kubomaga