何が好きって、散歩しながら写真を撮ることほど好きなことはない(いや、ほかにも好きなことはあるか......。でも写真は最も好きなことのひとつ)。
私が好んで撮るのは、町並みや民家の装飾のディテール。例えば窓枠とか、扉とか、そういうの。
で、そういう撮影欲をかき立ててくれるのが、ハンザ都市の町並みなんだな。
ハンザ都市は中世にバルト海沿岸を中心に貿易で栄えた都市で、都市同士が互いの利益や安全を守るために同盟を組んでいたんだけど、その町並みが非常に私のツボ。すべてのハンザ都市に行ったわけではないけど、知る限りではどこもツボ。
例えば、中世に建造された重厚なレンガ造りゴシック建築とか、ギーベルハウスと呼ばれる、装飾的なファサードがついた家を見ると、もぉ〜写真を撮らずにはいられない。一日中歩き回って、写真を撮りまくってしまう。そのせいか、買ったばかりの一眼レフの調子がおかしくなってしまったけど......。
今回は「ハンザの女王」と呼ばれたリューベックと、ハンザ都市時代に塩で栄えたリューネブルクを訪れるという、ハンザ三昧旅行。
リューベックは、過去に訪れたことはあるけど、観光目的ではなかったので、目抜き通りをちらっと歩いただけだった。そのときの印象は、「新しい建物が多くていまいち風情がない」。でも、今回の旅行でそれが大間違いだったことがわかった。
だって私が小躍りするような、きれいな民家がたくさんあったんだもの!
場所は旧市街の北西エリアが特におすすめ。中でもGlockengießerstr.という通りの界隈はいい。この通りにきれいな中庭がある住宅群があって、特定の時間内なら誰でも入れるようになっている。いやもう、本当にきれい。特に今はバラが咲き乱れていて、そこにいるだけでうっとりした。
この住宅群、リューベックの観光局などで売っている市街地図に載っているから、すぐわかるはず。小径散策が好きな人には、たまらないから、ほんと。
うーん。
どうしてこうなんでしょうね。
そそられますよね。
個性的ではあるけど調和された家々。
緑と建築物のバランス。
いいですよね。
日本の昔の町並みも結構いけていたんでしょうけど、
戦後急激な西洋化の波におされ、
今では薄っぺらな町並みになってしまいました。
先日ドイツから来たドイツ人旅行者たちを高野山にアテンドした時、
寄り道して日本の田舎風景が残る、
「天野」という村を案内したんですが、
彼らは「schön」を繰り返していました。
日本において、
便利さが追求され、
あらゆる場所の道がアスファルトになり、
信号が信じられないほどの小さい交差点にも設置され、
24時間365日営業しているコンビニ、
正月から開くスーパー。
担保されることのない安全をうたい再稼動する原発。
取れることのない責任を誓う首相。
それを美化する発行部数日本一の新聞社。
で、それを信じる国民。沈黙を決め込む市民。
おお、まずい。またガスが貯まってきました。
まあ、どこの国にもその国の事情はあるでしょうけどね。
taizangさん、
このギーベルハウスって、日本の看板建築に似ていると思いませんか?
私は一時帰国時に看板建築を見ると、やっぱり嬉しくなって写真を撮ってしまうんです。
日本の昭和の一時期は、和洋折衷の趣のあるデザインがよく見られたんでしょうけど、最近のはあまり興味を感じないです。
日本に便利な施設やサービスがあるのは、それだけちゃんと働く日本人が多いことを意味すると思うんです。もしベルリンにコンビニがあったら喜ぶ人は多いでしょうが、そこで働きたいドイツ人はいないかもしれません。そういう店で働くのは、結局アジア人ばかり…そんな光景が目に浮かびます。