なんか団地って、いい。いつ頃からか覚えていないけど、風情のある建物を見ると異様にテンションが上がる。
団地は、そういう建物のうちのひとつ。
実家の近くに、団地と都営住宅がある。特に都営住宅の方は(確か)平屋建てで、各棟の前に庭があってとてもよかった。でも、どちらも現在は取り壊されて、すっかりきれいになってしまったらしい。
そして阿佐ヶ谷住宅。私は全然知らなかったのだけど、老朽化のために建て直されることになり、既に住人たちは一時的に退去していて5月には取り壊されてしまうらしい。
だから見に行ってきた。
自分は一度も団地に住んだことがないのに、なんだろうね、この郷愁は。すごく懐かしい気持ちになる。
外壁に描かれた棟を示す番号とか、庭の植木とかブランコとか、すべてがいい。
これを見て思いだしたのが、ドイツ・デッサウ(の南部に位置するTörten テルテン)にあるバウハウス建築のグロピウス団地。
実は数年前に、このテルテンの団地の前をカメラを持ってフラフラしていたら、たまたま中から出てきたおじさんが「中を見ていく?」って入れてくれたんだよね。
もちろん遠慮なく入らせていただくと、裏には各戸に庭があって、部屋はコンパクト。日本の公団住宅を彷彿とさせる。と思っていたら、阿佐ヶ谷住宅を設計した建築家・前川國男はモダニズム建築の旗手と言われていたそうで、似ているのも当然と腑に落ちた。
阿佐ヶ谷住宅には、庭付き2階建てのテラスハウスと3〜4階建ての典型的な団地があって、前川國男が設計したのはテラスハウスの方。やっぱり、そっちのほうが風情がある。
衝動を抑えきれず写真を撮りまくっていたら、犬の散歩中らしきおじさんから「ここが取り壊されるというニュースはけっこう広まっているんですか」と声をかけられた。
その方は近所にお住まいらしく、ここが分譲住宅であったこと、それまで約300戸あった住宅は建て直し後は約600戸になり、その差額でこれまで住んでいた方は多額の資金がなくても再入居できるプランであることなどを聞いた。でもお歳の住人の中には、もう戻ってこない方もいるとか。
「中央広場では住民の運動会も行われていたんですよ」と聞き、行ってみる。
ほかの住宅前にはロープが張られ立ち入り禁止になっていたけれど、中央広場だけはお花見のためにと今月いっぱいは入れるようになっていた。なんと粋な計らい。
東京の桜は、たぶん今週末が見納めでしょ。
桜と共に、この古くてモダンな団地も見納めに阿佐ヶ谷に行くのもいいかもね。
ところで、この阿佐ヶ谷住宅の一件を知ったのは、妹が見に行ったのを知ったから。
私たち姉妹、そんなに似ていないと思っていたのだけど、二人とも建物好きで塔も好き。やっぱり姉妹なんだなと妙に感心した。
最後に、素人の質問。
西洋の建築は数百年は保つのに、どうして日本の建築は100年も経たないうちに壊されてしまうんでしょう。
耐震基準を満たしていないというのならわかるけど、老朽化? そんなにすぐにダメになってしまうような建材なの? どなたかご存じでしたら教えてください。
本当に最後に。阿佐ヶ谷住宅のことをもっと知りたくなって、 この本『奇跡の団地 阿佐ヶ谷住宅』を買いました。
これを読んだら、私の疑問も解消するのかな。
御久し振りです。
コメントしたい話題は一杯読みながら、そういう気分になれない「事件」が続いておりました……ごめんなさい。
>西洋の建築は数百年は保つのに、どうして……
「耐震構造」と「素材の老朽化」は大きいと思いますが、西洋の場合は
「再利用がしやすい」=単に「維持費」の問題
……ってのもあると思いますよ。
「地震が少なく」て「結局は石を積み上げただけ」……ですからね……。
ドレスデンの教会みたいに、壮大なジグソーパズルで何とかなる……??
日本でも、国宝級の建物は大切にされる訳で……世界最古(確か?)の木造建築がある国ですが、ただそれは本当に
「新築よりもお金が掛かる」
……レベルで。
まあ結局そうしたものを超えた、単に「新しもんスキ」ってのが、生活全てに影響しているんじゃあないか、とも思いますが???
リオさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ドイツなら、その気になれば家を手造りすることもできますもんね。
結局、古い物を手を入れながら大切に使い続けるという意識が
あるかないかの違いということなんでしょうか。
安普請の新しい家よりも、きちんと建てられた古い家のほうが
格段に魅力的だと思うのですが…日本では違うのは残念です…。