NHKラジオ『まいにちドイツ語』9月号テキストが発売になっています。
今号の連載「ドイツのgemütlich(ゲミュートリヒ)な暮らし」では、蚤の市について書きました。私の超得意分野です!なんたって、毎週蚤の市に通っているし、わが家の家具は、ほとんど蚤の市や中古店で買った古い品ですからね。
そんなわけで、蚤の市で購入した私の愛用品たちも撮影して載せました。「ドイツのgemütlich(ゲミュートリヒ)な暮らし」は『まいにちドイツ語』9月号ページの「試し読み」ボタンを押していただけると、すべて読んでいただけます(でもドイツ語学習中の方は、ぜひテキストを購読して勉強してくださいね)。テキストは電子版やCD付きも販売されています。
古いものに魅力を感じるようになったのは、ベルリンに暮らすようになってからです。
ヒマだったので蚤の市に通うようになり、日本ではまったく知らなかった1950〜70年代の食器や家具と出合いました。そのデザインが、私にとってはとても魅力的だったのです。しかも大量生産された新品を買うよりもずっと安い。自宅には蚤の市で買った品が、自然と増えていきました。
その傾向にさらに拍車が掛かったのは、ベルリンの一般宅インテリアを取材するようになってから。私がセンスがいいと思う人のお宅には、必ずどこかに古い品がミックスされているのです。その取り入れ方やバランスが、なんとも言えずカッコよくて素敵でした。
真新しい有名ブランド家具で揃えれば、簡単にきれいな部屋は作れますが、私はそれは決してセンスがいいとは思いません。服のコーディネートもそうじゃないですか? 全身ブランドもので決めても、なんだかつまらないですよね。お金さえあれば、センスがなくてもできるコーディネートなんて、退屈です。
それよりも、いろいろなものをミックスして、その結果素敵な方がそれぞれの個性が表れてずっとおしゃれだと思うんです。ベルリンには、そういうインテリアセンスに優れた人が多いです。
古い品のよさは、現代にはないデザインや味わい、歴史を秘めているところでしょうね。私は特に50〜60年代デザインが好きなのですが、そういうデザインは現代の品にはありません。だから、好みのものがほしければ、古い品を買うことになるのです。それが高じてレトロ雑貨ネットショップ「アムゼル」もオープンしてしまいました。
ものが作られた時代や背景を想像したり、調べたりすると、急に歴史が身近に感じられるようになったりもします(何回も書いていますが、私は学生時代、歴史に興味がありませんでした)。現在は過去の延長線上にあることを、私はベルリンの蚤の市から学んだかもしれません。
私がいま使っているものも、もしかしたらいずれ誰かが引き継いでくれるのかもしれません。それはドイツなのか、日本なのか。蚤の市で買ったティーカップ1つから、想像が果てしなく広がります。